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盲ろう通訳講座、「大運動会」で介助など実地体験(2019年11月13日配信『朝日新聞』―「岡山版」)

網ろう
選手宣誓する浅井義弘さん(中央)=2019年11月3日午前11時22分、岡山県津山市山北

岡山県津山市で6月に開講した盲ろう者向け通訳・介助員養成講座(全8回)は、いよいよ大詰め。7回目の授業として、記者の私も含めた受講生は3日に開かれた「岡山盲ろう者友の会大運動会」に参加し、盲ろう者の介助やコミュニケーションを実地で体験した。

 運動会の会場は、津山市役所に隣接する市総合福祉会館の大会議室。開始1時間前に、受講生は別室に集まった。

 皆、初めての「実戦」を前に緊張している。友の会の村上京子事務局長が「失敗が勉強。自分が楽しまないと、盲ろう者も楽しめませんよ」とたしなめた。

 運動会の参加者は、受講生10人を含め計41人。そのうち8人が盲ろう者だ。受講生は担当の盲ろう者と会話や移動介助をしながら準備運動や競技など、13のプログラムをこなす。

 盲ろう者8人の意思疎通手段は、近い距離での手話▽手話をする手を触って読み取る「触手話」▽指点字▽手のひらに文字を書く「手書き」などさまざまだ。私は、ろうで、視力はわずかに残る菅田(かんだ)小百合さん(56)の担当に決まった。コミュニケーションは近くでの手話か触手話を使う。

 講座で指点字の講師をしてくれた浅井義弘さん(78)が「我々は、障害にかかわらず、和やかに競技することを誓います!」。大きな声で高らかに選手宣誓した。

 まずラジオ体操で体をほぐす。盲ろう者と向かい合わせで手をつなぎ、一緒に体を動かす。

 競技は、15メートル走や大玉転がし、尻で風船を割る「ケツ圧測定」など。盲ろうでない参加者も、耳あてや目隠しを着け盲ろう状態になって介助役と走る。

 場内アナウンスや競技の様子、自分たちの出番など、私は「相棒」の菅田さんにつたない手話で一生懸命伝えた。伝え忘れや失敗もあったが、周囲のベテランたちが助けてくれた。

 実は菅田さんは、フルマラソンも走るアスリートだ。パン食い競走では私が盲ろう、菅田さんが介助者と、立場を交換して出場した。見えず聞こえず、菅田さんの引く手だけを頼りに走る。が、速い! ついていくのが大変だ。顔に当たっては逃げるパンをなんとかくわえ、1位でゴール。菅田さんとハイタッチした。

 最初はおずおずとつないだ手が、じきに、当たり前になった。

 私の手から盲ろうの人の手へ。言葉が流れ込む。そう感じる瞬間が、何度かあった。相手の表情が、花が咲いたようにぱあっと輝き、感情や思考が、私に伝わり戻ってくる。

 見えて聞こえる私が取り込んだ外界の情報を、盲ろう者に注ぎ、分かち合う。一方的な「してあげる」ではない。互いに、豊かな何かを得るのだ。

 しかし、私の技術は未熟でつたない。伝え合う「水路」を太くするには、より確かな通訳・介助の技術が必要だ。

 運動会が終わり、菅田さんが「今日はありがとう。よく分かったよ」。こちらこそ。大事なことを教わりました、ありがとう。思いを込めて握手をし、会場を出た。




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Author:gogotamu2019
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