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害のある子の育ち支え 駿遠学園、開設50周年(2019年11月15日配信『朝日新聞』ー「静岡版」)

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大井川鉄道福用駅のそば、茶畑に囲まれた赤い屋根の建物が駿遠学園だ=2019年11月14日午前11時19分、静岡県島田市福用

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中学生男子棟。2人一部屋のつくりだが、個室対応が必要な子どもが増えているという=2019年11月14日午前11時20分

 知的障害や発達障害がある児童の入所施設「駿遠(すんえん)学園」(静岡県島田市福用)が開設50周年を迎え、16日に現地で記念式典を開く。県中部4市2町でつくる一部事務組合が運営し、県内で3番目に古い。学園の足跡からは障害児をめぐる国策が「隔離」から「統合」「共生」へと変化した様がうかがえる。

 駿遠学園は1969年、金谷町立北五和小学校(当時)の跡地に建てられた。就学免除で家庭にいた障害児の施設収容が、国策で進められた。

 79年、養護学校が義務化され、学園にも養護学校の分教室が設置された。そのころから卒園者が園にとどまるケースが増え、以後30年近く定員50人の約7割を18歳以上が占める状態が続いた。障害がある人の就労や生活の基盤が地域にはまだ育っていなかった。2011年、18歳以上の居場所として、市内にグループホーム「ひだまり」(定員16人)を開所。学園は18歳未満の定員40人で再スタートを切った。

 11月1日現在、入所者は33人。このうち職能訓練コース(16~18歳)を除く児童入所コース18人の入所の背景は虐待5人、育児放棄7人、親の疾患6人。桜井郁也園長は「多くの子が親との愛着が未形成で、不安定。個別に対応する必要がある」。21人の職員が3交代で勤務しているが、手も目も足りないという。

 築27年の施設の老朽化も深刻だ。破壊衝動を持つ子もおり、浴室や壁には穴が目立つ。2人部屋だが、自閉症や引きこもりがちの子には個室が必要だ。課題に対応するため、4市2町の担当者レベルで今年、あり方検討会が始まった。
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 駿遠学園に来る子どもたちの背景は年々厳しさを増している。

 一郎(18)=文中の名前はいずれも仮名=は実父から身体的虐待と食事を与えないなどのネグレクトを受けて育った。小5の時、家に帰れず体育倉庫にいるところを教員に保護された。軽い知的障害があり、駿遠学園に入った。入所当初は自室にこもり、人とのかかわりも拒否的だった。中学ぐらいから音楽に興味を持ち、バンド活動を始めて自信を持った。卒園後はグループホームから、金型工場に通勤している。

 文香(18)は小6のころから実父に性的虐待を受けていた。中2の時、担任に打ち明け、保護された。駿遠学園では当初、男性職員にべったりともたれかかったり、腕を組んだり、精神的な依存も見られた。職員はそのつど、人との距離の取り方や触ってはいけない「プライベートゾーン」を教えた。現在は学園を出て静岡市のグループホームに入り、小売店で働く。

 俊(10)の母は発達障害があり、内縁の父はそんな母に俊の目の前で暴力をふるった。学園に来たのは小1の時。職員と視線が合わず、英語やCMのフレーズを繰り返した。一方で食事や排泄(はいせつ)といった基本的な生活習慣が身についていなかった。3年間の規則的な生活で俊は少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。月数回は自宅に外泊し、家族再統合を図っている。

 孝(10)と聡(7)の母は西日本に住む父の家を出て、SNSで知り合った静岡県中部の男性宅に転がり込んだ。男性は生活保護を受けており、市のケースワーカーから母子が居候している状況が発覚した。孝にも聡にも、住所も学籍もない。就学につなげるため、学園が引き取った。母はその後住み込みの仕事を転々とし、まだ住所は定まっていない。



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