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アイヌ遺骨返還 全大学は謝罪と検証を(2019年11月16日配信『北海道新聞』ー「社説」)

 全国12大学が保管するアイヌ民族の遺骨に関し、胆振管内白老町に建設中の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」内に設けられた慰霊施設への集約が行われている。

 遺骨は北大や札医大、東大、京大などに計1574体(1体として特定できなかった計346箱を含む)あり、年内に移送を終える予定だという。

 祖先の遺骨を持ち去られたアイヌ民族の憤りや苦しみは察するに余りある。

 12大学は、アイヌ民族に謝罪し、遺骨がどのような手続きを経て掘り起こされたのか、その後の管理が尊厳を尊重したものだったのか、丁寧に検証すべきだ。

 施設への集約を巡っては、「祖先が埋葬されていた元の土地に戻すことが尊厳ある慰霊だ」と反対する声も挙がっているが、当然の主張と言えよう。

 当面は集約するにせよ、政府はこうした声を真剣に受け止め、遺骨の返還につなげてほしい。

 遺骨は、明治時代から1970年代にかけて旧帝国大の研究者らが墓地から掘り起こすなどして収集された経緯がある。

 北大は「アイヌ民族の尊厳に対する適切な配慮を欠いており、真摯(しんし)に反省する」とする一方、「盗掘など法的責任を示す明らかな資料はない」と述べ、謝罪を行わない考えを繰り返した。

 しかし、少なくとも道義的責任はあるだろう。遺骨の保管方法一つとってもずさんであり、謝罪は不可避だ。

 慰霊碑を建て「集約・返還の完了後も慰霊を行い、語り継ぐ」とし、経緯の分からない遺骨の調査を続ける。全ての大学が同様に調査に全力を挙げる責務がある。

 返還手順を示す国のガイドラインは、遺族に加え、出土した地域のアイヌ民族団体が「地域返還」を求めれば、第三者委員会の意見を踏まえて判断するという。

 返還申請のない遺骨はウポポイの慰霊施設に集約され、その後も地域返還も可能とした。

 だが、集約には「研究に利用される恐れがある」といった批判もある。国や大学が責任を持ち、元の埋葬地に戻すためのより積極的な対策が求められる。

 先日、十勝管内浦幌町の浦幌アイヌ協会が、東大を相手取り、遺骨6体の返還と50万円の損害賠償を求めて釧路地裁に提訴した。

 協会は「慰霊行為は、私たちの生活をお守りいただく意味合いもある」と訴えている。東大は速やかに応じるべきである。




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