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UDタクシー乗車拒否 運転手の負担軽減が鍵(2019年11月19日配信『中国新聞』ー「社説」)

 老いも若きも乗りやすく、ベビーカーの利用者や障害者にも優しい。ワゴン型で車いすのまま乗れるはずのユニバーサルデザイン(UD)タクシーから、乗車拒否に遭う車いす利用者が少なくないという。

 広島を含む全国21都道府県で先月末、障害者団体「DPI日本会議」が一斉調査をした。乗車拒否の割合は、全国平均で27%にも及んだ。

 ラッシュ時には一分一秒を争うドライバーの負担感は強いだろう。実際、乗車に20分以上かかるケースも見える。とはいえ乗車拒否は道路運送法違反であり、障害者に対する差別にほかならない。何とか、打開策を見いだす必要がある。

 UDタクシーは2011年度に国が車両の認定基準を設け、既に国内メーカー2社も販売している。来年は東京五輪・パラリンピックを控える。交通インフラのバリアフリー化を促す、またとない機会のはずだ。

 政府が「全タクシーの25%をUDに」と目標を掲げる東京都内には及ばないものの、地方都市でも徐々に普及が進みつつあるのは間違いない。事業者を後押しする国の補助制度もあり、UD車両の導入が図られる一方で、肝心の運用はまだ立ち遅れ気味―。そんな実態が今回、明るみに出た格好である。

 「電動車いすは載せられない」と誤解し、乗車を断るドライバーもいたという。せっかくのUDタクシーが宝の持ち腐れである。事業者や業界団体に、さらなる研修を求めたい。

 乗車拒否を減らすには、やはりハンドルを握るドライバーの理解が欠かせまい。手間と時間、おカネの3点について、問題点の把握が望まれる。

 後部座席を上げ、収納袋からスロープ板を出し、固定レバーを引き…と当初は、60以上もの手間がドライバーに求められていた。メーカーの努力で改善されたものの、人によって習熟度の開きが少なくない。

 それに、乗り降り作業に携わる間、料金メーターを回せない。しかも料金から障害者割引をした目減り分が、ドライバーのしわ寄せとなる実態もあるようだ。歩合制による給料分が大きいドライバーにとって、UDタクシーは「割を食う」印象が先に立つのも無理はない。

 車いす利用者とドライバーが対立せずに済む道を探りたい。車いす客を乗せても割を食わないような、むしろ何か張り合いが生まれる仕組みは考えられないものだろうか。

 今回の調査は、駅前などのタクシー乗り場や街中での流し、アプリや電話による配車予約の3通りだった。タクシー乗り場での乗車拒否率は24%と、流しでの20%より高かったという。

 乗り場で乗車に手間取れば、乗り手はもとより、乗せる側も長く延びる後ろの行列に気兼ねするのかもしれない。車いす用の乗車スペースを別に用意することはできないか。

 UDタクシーのドライバーと車いす利用者が日々、現場で抱え込んでいる、こまごまとした問題を一つずつ洗い出し、解決策も話し合う。両者をはじめ、当事者全てに開かれた協議の場づくりが急がれる。

 乗客よし、運転手よしの「双方よし」を目指し、行政や車両メーカー、タクシー会社も力を合わせてほしい。




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