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満開の桜を見ようと老若男女が袖を連ねて集まった京の清水…(2019年11月29日配信『毎日新聞』-「余録」)

 満開の桜を見ようと老若男女が袖を連ねて集まった京の清水。そこで桜の木の周りに幕を張りめぐらして花見をする集団が現れた。その狼藉者(ろうぜきもの)をこらしめるのはおなじみ坂田金時(さかたのきんとき)の息子、金平(きんひら)である

▲「それ世の常の花だにも万民の眺めとす……貴賤(きせん)こぞって群集(くんじゅ)する木のもとに幕うち回しふさぐ事、月を隠す雲とや云(い)わん」。江戸時代の金平(きんぴら)浄(じょう)瑠璃(るり)で観客の胸のすく場面である。花の下で特権をふりかざす無粋(ぶすい)は民の怒りをかった

▲白幡洋三郎(しらはた・ようざぶろう)さんの著書「花見と桜」で知ったこの話、何年か前にも小欄で紹介したが、またまた金平に一暴れしてほしくなった「桜を見る会」その後である。めぐらしたその幕の内側の、なんとも腹立たしい光景が次々にもれてきた

▲まず会場にいた反社会的勢力とみられる人物の写真がネットに流れ、一緒に写った官房長官は「結果として入っていたんだろう」と語った。4年前には悪質なマルチ商法が問題になっていた会社の元会長が招待されていたのも分かった

▲一般を締め出しての花見も世の功労者を遇するなら許せるという人も、これでは怒る。なぜそんな人がいたのか。誰が招待したのか。当然の疑問に政府は答えない。今年の招待者名簿は議員が資料提出を求めた1時間後に廃棄された

▲怪しい花見を取り囲む幕は引き上げると、また次々に張られていく。森友・加計(かけ)問題を思い出す光景だが、金平の言葉も忘れない方がいい。人をみな平等にする桜の下での権柄(けんぺい)ずくは許さぬのが日本人の心意気だ。



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