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秋田県有地売却、奇妙な議論 地上イージス、「不必要だが取得」(2019年11月29日配信『秋田魁新報』)

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肩書は一部当時

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を巡る焦点の一つだった秋田県有地の国への売却論が、佐竹敬久知事が否定的発言をしたことで白紙になりつつある。売却論は昨年7月ごろに知事と自民党国会議員が突然、足並みをそろえたように言及し始めた。対する防衛省は「必須ではない」としながらも取得の意向を示す不可解ぶり。一連の議論は、奇妙な経過をたどってきた。

 「今の状況で県民感情を踏まえると、とても県有地を売却する議案提出をできる状況にない」。今月25日、佐竹知事は定例会見でこう述べた。

 防衛省は、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場に地上イージスを配備する場合、周辺の県有地を取得し、西側を通る県道を最大300メートルほど海側に付け替える計画を示している。

 県有地を売却する場合は議会の承認が必要だ。知事の発言は、防衛省の資料に誤ったデータが記載されていた問題が発覚して以降、地元の不信感の高まりを受けたもの。防衛省の計画の前提を崩した格好だが、そもそも防衛省が県有地を取得するという計画は、知事自身の発言がきっかけだった。

 昨年7月10日、県議会予算特別委員会の総括審査。

 「場合によっては、海岸沿いの道路を付け替えて、海岸にできるだけ近づいて緩衝地帯を1キロか2キロ取るということもできるのです」

 住宅地に近接し、東西の幅最長約800メートルの演習場に対する所感を問われた知事は突然、住宅地との距離の確保策としてこう述べた。防衛省への助言とも受け取れる提案だった。

 この時期、自民党の県関係国会議員も同様の発言をし始めている。

 秋田魁新報は総括審査の翌11日付から連載インタビュー「どうする地上イージス・国会議員に問う」を掲載。ここで冨樫博之氏(衆院秋田1区)、御法川信英氏(衆院秋田3区)、石井浩郎氏(参院本県選挙区)、中泉松司氏(当時参院本県選挙区)が、異口同音に県有地取得による緩衝地帯の確保策を示す発言が掲載された。

 「配備受け入れに向け、落としどころの話し合いが付いているんじゃないのか」。同時期の符合した発言に、配備に反対する複数の県議から当時、いぶかる声が上がった。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を巡り、佐竹敬久知事と自民党国会議員が昨年7月、候補地である陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)の周辺の県有地を防衛省に売る案を示し始めた。防衛省は突然の提案にもかかわらず、それをのむ姿勢をみせた。一連のやりとりに、配備反対の県議は「落としどころを探っていたのではないか」と思惑を透かして見る。

 防衛省の反応は早かった。同月28日、秋田市で開かれた住民説明会で五味賢至・防衛省戦略企画課長(当時)は「敷地が足りないとなれば、緩衝地帯の確保も検討対象になる」。明言を避けつつも、土地取得の可能性をにおわす発言をした。

 そして今年5月27日、防衛省による一連の適地調査の結果をまとめた報告書に「安全のために県道を西側に付け替え、演習場西側の県有地等を取得します」との文言が盛り込まれた。

 この記載について防衛省幹部は6月5日の県議会、市議会への説明で「住宅地や公共施設から700メートル離すことが適当と考えており、県有地を取得したい」と述べた。700メートルは、知事が以前に示した目安だと説明した。

 しかし、この数字に科学的根拠はなく、法令上の規制でもない。知事自身も「根拠が完全にあるかというと、ないですよ」と認めている。

 この距離は、新屋演習場で確保できる地理的な限界とも一致する。さらに、県議からの「県有地を取得できなくても配備を進めるのか」という問いに省幹部は「県有地を取得しなくても住民に影響を与えず配備できる」と答弁。必要性を否定するかのような不可解な論を展開している。

 県有地の売却問題は、知事が議案を提出するのか、県議会が議決するのかという配備受け入れ可否の重要な分岐点になると見られていた。知事も6月3日の定例会見で、議案提出は県として配備の受け入れを容認した場合に行うと説明。「来年中に(県有地提供の)申し入れがあると思う。その時は態度を決めなくてはいけない」と語っていた。

 しかしこの2日後、本紙の報道で防衛省の説明書に記載されたデータに誤りがあったことが発覚。地元自治体の判断が問われる局面の手前まで進みかけていた計画は、振り出しに戻った。防衛省に対する地元の不信感は強まり、今月に入って知事が県有地の売却は困難との認識を示すに至った。





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