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「桜を見る会」疑惑次々 首相は逃げずに説明せよ(2019年11月29日配信『福井新聞』ー「論説」)

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡り、新たな疑惑が次々と浮上している。にもかかわらず、首相は一向に説明に応じようとしていない。国民の不信感は募るばかりだ。

 新たな疑惑の一つは反社会的勢力と疑われる人物が出席していたとされることだ。マルチ商法を展開し経営破綻した「ジャパンライフ」の元会長で、菅義偉官房長官と一緒に映った写真が出回っているという。

 菅氏は「写真があるなら結果として会場にいたのだろう」と述べたが、出席者の身元確認もできておらず、結果的に宣伝に悪用され被害が拡大したとすれば責任は重い。野党は招待状の番号などから首相の推薦枠で出席したとみている。

 その推薦枠についても、内閣府の資料から2014年の首相や官房長官らの枠は3400人だったことが判明。政府は今年の推薦枠を計2千人としており、実人数はこれを上回っていた疑念が持たれている。

 さらに、15年の会では首相事務所のスタッフがツアーに参加する地元支援者らに同行して上京する際の旅費を、政治資金で支払った疑いがあり、証拠となる領収書を入手したと週刊誌が報じた。首相は「事務所や後援会としての収支、支出は一切ない」と述べてきたが、これが事実なら説明と矛盾する可能性がある。

 首相に代わって説明に当たる菅氏は、参加者に関して「名簿は廃棄され、確認できない」の一点張り。野党が資料請求したその日に廃棄したとしているが、請求を知って廃棄したとの疑念は拭えない。

 そもそも、他の省庁は推薦名簿の保存期間をおおむね3~10年としているのに、内閣府や内閣官房だけが1年未満なのも不自然だ。他の省庁からは「次に誰を推薦するのかを決めるために、過去のデータが必要だ」という指摘がある。内閣府はどういう基準で推薦していたのか、首をかしげたくなる。

 首相や菅氏は来年の会を中止し、曖昧な基準を見直すとしているが、過去のデータがなければ、何が曖昧だったのかも割り出せないではないか。

 共同通信社が23、24日に実施した全国電話世論調査では、桜を見る会に関する首相の発言を「信頼できない」とした回答は69・2%に上り、内閣支持率も48・7%と、10月の前回調査から5・4ポイント減った。新たな疑惑が噴出した現段階だと、不信度はさらに強まっているとみるべきだろう。

 今月20日、在職日数で憲政史上最長となった安倍首相。名宰相ならぬ迷宰相と呼ばれないよう、きっちり説明責任を果たすべきだ。逃げずに、一問一答の場である予算委員会の集中審議に自ら応じる必要がある。



政治家の言葉は、ますます軽くなる(2019年11月29日配信『福井新聞』ー「越山若水」)
 
 豊かな森林が広がる日本では、古くから木材が生活に欠かせない素材として利用されてきた。福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館で今、同遺跡から出土した木製品を紹介する特別公開展が開かれ、戦国城下町における「木の利用」を解説している

▼木は食膳具、将棋の駒などの遊戯具、建築部材などさまざまな製品に使われてきた。展示を見ると樹種ごとに巧みに使い分けていたことが分かる

▼スギなどの針葉樹材は木目(もくめ)がまっすぐで加工しやすく、容器や建築材に利用された。殺菌性や防虫性のある成分が含まれ腐りにくいクリやヒノキは、柱材や便器の金隠しに用いられた。重くて硬いイスノキは割れにくく櫛(くし)の材料に多用された。漆器の場合、耐久性の高いケヤキは上質な品に、ブナやトチノキは普及品に使われた。木の利用はまさに「適材適所」だった

▼人間の世界でも適材適所は大事だ。この言葉を安倍晋三首相は内閣改造などで好んで用いた。ところが、わずか1カ月の間に2人の閣僚が辞任する事態に。「適材適所の観点から任命したが、国民におわびしたい」と謝罪した

▼悪いことは続く。今度は、9月に就任した自民党の農林水産副大臣が代表を務める選挙区支部が、一昨年の衆院選のさなかに国の公共工事を受注していた地元企業から寄付を受けていたことが分かった。政治家の言葉は、ますます軽くなる。




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