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光の「音」で感じる演劇 聴覚障害者の劇団出演(2019年11月30日配信『岐阜新聞』)

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本番に向けて稽古に打ち込む岐阜ろう劇団いぶきのメンバーら=28日、岐阜市都通、市中市民健康センター

 音を感知して震えたり光ったりする専用の機器を装着してもらい、聴覚障害のある人に音の特徴を伝えることで演劇を体感してもらう試みが12月1日、岐阜市学園町のぎふ清流文化プラザで開かれる「清流ふれ愛コンサート」で初めて実施される。出演するのは聴覚障害者らでつくる「ろう劇団」で、メンバーは「より多くの人が楽しめる表現を考えていくための一歩にしたい」と力を込める。

 コンサートは、障害者アーティストの発表を通じて共生の在り方を探ろうと、同市のNPO法人「音楽座(おとらくざ)ぎふ」と県教育文化財団が毎年開催している。演劇の公演は4年目の今回が初めてで、1982年に同市で結成した「岐阜ろう劇団いぶき」が舞台に立つ。マリンバや打楽器の音に乗せ、手話や事前収録の音声、スクリーンに表示する字幕で進行する形式を続けてきたが、情景描写など人物のせりふ以外の場面で、障害がある人にとって舞台上で何をしているか分かりにくい時間が生じ、表現する上での障壁になっていた。

 活用する機器は、富士通(東京都)が今年7月に発売した「ontena(オンテナ)」。頭や衣服などに装着、周囲で発せられる音を256段階の振動と光の強さに変換することで音の強弱やリズムを感知できる。全国30校のろう学校に体験版が提供されており、10台を音楽の授業などで活用する岐阜聾学校(同市)の林正治校長(61)は「リズムに合わせて足踏みするといった、音を体感する効果は絶大だった。聞こえにくさのある人の可能性が広がる」と期待を寄せる。

 共生という観点では課題もある。会場に手話や要約筆記、オンテナの光といったさまざまな情報が飛び交うことは健常者にとって必ずしも快適な鑑賞空間とは言い難い。劇を手掛けた演出家野﨑美子さん(57)=東京都=は「共存して何かを楽しむためには、少しずつどこかで互いに譲り合うことが必要なのではないか。今回が一緒に味わう方法を考えるきっかけになれば」と語った。

 劇の稽古は大詰めを迎えている。メンバーは手話通訳を介して野﨑さんの言葉をくみ、細部にわたり演技を磨く。機器を使った新たな試みについて劇団の河合依子代表(65)は「考えたこともない発想だった。みんなが楽しめるステージにしたい」と笑顔で話した。

 午後1時30分開場。ピアノや和太鼓の演奏もある。オンテナは30台を貸与するほか、会場に展示ブースが設けられる。入場無料。




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