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静寂のテニス、世界制す 関大2年の喜多さん(2019年12月2日配信『朝日新聞』)

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優勝した喜多美結さん(トルコ・アンタルヤ、本人提供)

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大学生の大会に向けて練習する喜多美結さん。普段は耳に補聴器を付けて練習する=2019年11月22日、大阪府吹田市

 聴覚障害者が挑む「デフテニス」の世界大会で、関西大学(大阪府吹田市)の学生が女子シングルスで優勝した。体育会テニス部の2年、喜多美結さん(21)=大阪府豊中市。2年前に競技と出会い、「耳が悪いことはダメじゃないんだ」と思えた。他の学生と腕を磨き、2年後のデフリンピックで金メダルを目指す。

 デフテニスのルールは一般的なテニスと同じだが、補聴器を使わずにボールを追う。喜多さんは10月にトルコ・アンタルヤであった世界デフテニス選手権大会に出場し、女子シングルスで優勝、女子ダブルスも準優勝した。日本ろう者テニス協会によると、デフテニスの世界大会で日本代表がシングルスを制したのは初めてという。

 喜多さんの難聴が判明したのは小学4年生のころ。母親が左から声を掛けても反応できず、病院に行って判明した。原因は不明で徐々に悪化し、中学3年で補聴器が手放せなくなった。

 テニススクールに通う両親の影響でテニスを始めたのも小学4年から。耳の穴に入れるタイプの補聴器を両耳に付けて練習した。打球音は聞こえないが、手前でバウンドする音などを頼りにボールを打つ。高校では全国大会に出場するまでに成長した。

 でも、周囲に聴覚障害者はいなかった。友達の話を聞き返してトラブルになり、悩んだこともあった。

 「分かってくれる人が欲しくて。でもどこにいるのか分からなくて」

 関西大に合格した後の昨年3月、ネットで「デフテニス」という言葉があると知った。ちょうど京都で体験会があり、参加した。補聴器を外して恐る恐るボールを打とうとしたが、タイミングが合わない。音がないと足も動かない。それでも次第に慣れ、鋭く打ち返す姿に、協会の関係者から「代表を目指してみないか?」と言われたという。

 大学ではテニス部に入部。耳が聞こえる他の学生と練習し、今年はインカレ予選にも出場。昨年のデフテニス世界大会では、団体戦5位の成績を収めた。

 補聴器を外して気づいたこともある。「音を感覚で感じるんですよ」。ラケットとボールが合う時、「パン」という音がイメージできるようになった。

 今年の世界大会は大学の全国大会の直前にあたったが、先輩らと練習しながら「一緒に優勝しよう」と背中を押してもらった。

 世界大会女子シングルスの決勝の相手は、昨年の団体戦で大敗したドイツの選手。昨年はまだデフテニスに慣れずにうまく足が動かなかったが、フットワークを鍛えた成果が出て、6―4、6―4で破った。

 デフテニスに出会って「価値観が変わった」という。自分より障害が重い人もいる。聴覚障害者を理解し、応援してくれる人もいる。「耳が悪いことがダメじゃないと思えて。救ってもらった場所という感じ」。だからこそ自分が活躍してデフテニスを広めたい。

 世界選手権は通過点で、目標は2年後のデフリンピックでの優勝だ。自分と同じ境遇の子にも勇気を与えられるように、「こっからだぞ」と思っている。




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Author:gogotamu2019
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