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児童福祉司の国家資格化に賛否 児相で虐待対応(2019年12月1日配信『日本経済新聞』)

専門性向上と人員確保の間で

児童相談所(児相)で虐待対応の中核を担う「児童福祉司」。悲惨な虐待事件が相次ぐなか、児童福祉司を国家資格化する議論が厚生労働省の専門家会議で始まった。対応の専門性を高める効果が期待される一方で、人員確保の面からは資格化への反対論も根強い。

児童福祉司は児童相談所で家庭の相談支援に当たる。虐待が疑われる事案では介入の必要性を見極める重責を担う。2019年4月時点で3817人が任用されている。

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「一時保護などの強制介入をすれば、保護者との対立が生じる。同時に健全な家庭環境をつくるためには保護者と信頼関係を築く必要もある」

9月に開かれた第1回会議で、東京通信大の才村純教授(児童福祉)は児童福祉司に求められる専門性を強調。資格制度の導入を求めた。

現在、児童福祉司の任用要件は6種類。「社会福祉士」の資格を持つ人からの選任が最多で全体の43%、「心理学科などを卒業後に福祉支援の業務に1年以上従事」した人が29%で続く。

児相職員は都道府県、政令指定都市の公務員として定期的に異動する。5年以上の経験を持つ児童福祉司は40%に満たない。才村教授は「腰掛け職員ばかりになってしまう現在の仕組みではなく、資格導入で児童福祉司の知識、技術を培う制度が必要だ」と主張する。

専門性向上の必要性は以前から指摘されており、16年の厚労省の審議会でも資格化の検討を求める提言がまとめられている。その後、児相の対応のまずさが露呈するケースが相次ぎ、19年6月に児童福祉法などが改正され、児童福祉司の資格化などの検討が盛り込まれた。

19年も千葉県野田市で一時保護の解除後に女児が死亡した事件など、児相の責任が問われる事件が起きた。16年の審議会委員で、今回の会議にも参加する山梨県立大の西沢哲教授(臨床心理)は「時間をかけているうちに死亡してしまう子どもがいる。議論を前に進めたい」と語る。

18年度に全国の児相が対応した虐待件数(速報値)は15万9850件。虐待が疑われる事案の通告が義務化された00年の9倍だ。一方の19年4月時点の児童福祉司数は00年度の2.9倍と、事案数の増加には追いつかない。

ただ国家資格化には根強い慎重論がある。19年2月には9人の専門家が約3千人の署名を集めて反対を表明した。発起人の一人、木下大生・武蔵野大准教授(社会学)は「資格化は人員確保を妨げる。現状は人手不足が質の低下につながっている。まずは量の確保が重要だ」という。

日本社会福祉士会も資格化に反対の立場。副会長の栗原直樹委員は「社会福祉士が現場研修を積み上げれば、実務能力は培える」とした。

会議は20年12月をメドに結論をまとめる。厚労省幹部は「児童福祉司の資質向上を目指す考えは皆同じ。両論併記ではなく、具体的な方向性を示したい」と話している。




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