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パワハラ指針 これで被害防げるのか(2019年12月5日配信『東京新聞』-「社説」)

 何が職場のパワーハラスメントに当たるのか、それを企業がどう防ぐのか。その指針案を厚生労働省がまとめた。審議会の議論で労使の意識共有は十分にされたとは言い難い。実効性を疑う。

 パワハラは働く人の健康被害を招いたり退職を余儀なくされたりするだけではない。自殺に追い込まれるほど深刻化するケースもある。人の尊厳を傷つける行為だ。

 だからこそ、労使ともにパワハラのない働きやすい職場づくりに取り組まねばならない。そのためには何がパワハラかその認識の共有が必要になる。

 だが、まとまった指針案には疑問を持たざるを得ない。

 指針案は女性活躍・ハラスメント規制法(パワハラ防止法)の来年6月の施行に合わせパワハラの具体例や企業に義務付ける防止策などを示した。

 パワハラを(1)優越的な関係を背景に(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により(3)労働者の就業環境が害される-の3つをすべて満たすことと定義する。

 その上で具体例を暴行・傷害などの「身体的攻撃」、脅迫・ひどい暴言などの「精神的攻撃」、隔離・仲間外しなど「人間関係からの切り離し」など6つに分類して例示した。

 疑問がわくのはパワハラに該当する例とともに、該当しない例も併記されていることだ。

 「身体的攻撃」では「その企業の業務内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意すること」は該当しない。

 何が「重大な問題行動」か、「一定程度」とはどれくらいなのかあいまいだ。企業側がこうした該当しない例をパワハラを否定する口実として拡大解釈する懸念がある。パワハラの範囲を狭めかねない。審議会で労働側から批判がでるのも当然だ。

 フリーランスの人や就職活動中の学生など雇用関係にない人をどう守るかも論点だった。だが、企業側に注意を払ったり、必要に応じた対応への努力を求めるだけにとどまった。これで取り組む企業が増えるとは考えにくい。

 職場での女性へのヒール靴強制はパワハラに当たり指針に入れるべきだとの声もある。厚労省はこうした指摘も考慮し指針の実効性を高めてほしい。

 指導とパワハラの線引きが難しいのは確かだが、被害を防ぐという意識を共有し、対策を進めねばならない。 




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