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知られざる「副作用」の恐怖〜薬が5種類以上になると命の保証は…(2019年12月7日配信『日刊ゲンダイヘルスケア』)

薬が体内にたまると…悲惨な最期

週刊現代講談社

副作用が連鎖する

「歳をとれば病気になるのが普通ですが、症状に合わせて薬を飲むと、薬は増える一方です。しかし、薬の種類が増えれば、それだけ副作用も増えて苦しむことになる。これでは、本末転倒でしょう」

こう語るのは前出の山口氏だ。山口氏は番組の元になった研究「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用」の分担研究者の一人でもある。

東京大学の秋下教授が主導したこの研究では、高齢者は、処方される薬が6種類以上になると副作用が起きる人が増えると明らかになった。

そもそも、ひとつひとつの薬にはそれぞれ副作用がある。といっても、必ず副作用が現れるわけではなく、適切な時間で身体の外に薬が出ていけば、副作用は起こらない。

何種類もの薬を一度に飲めば、薬が体内に長く留まり、それぞれの薬の副作用がでやすくなることは知られていた。高齢社会のいま、この多剤併用、ポリファーマシーは社会問題化している。

今回、その境目が、6種類だと判明したのだ。

高齢者は副作用が重篤化しやすい。排尿障害、腎機能障害など重い副作用がいくつも出れば、単なる副作用の足し算ではなく、掛け算的に、悲惨な状況に追い込まれる。

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処方された薬が5種類を超えて、6種類になると何が起こるのか。その答えは、大きく4つある。

【①副作用が増強される】

都内在住の遠藤陽太さん(79歳・仮名)が語る。

「以前から、不眠症で、デパス(エチゾラム)とハルシオン(トリアゾラム)という睡眠薬を、気分で使い分けていました。ほかに飲んでいたのは、気管支炎の薬でクラリスというものです」

昨年8月、遠藤さんは深夜にトイレに行こうとした際、転倒して階段から落ちた。泊まりに来ていた長男が物音に気付き、救急車を呼んで一命をとりとめたという。遠藤さんは続ける。

「睡眠剤の副作用でめまいが起きることがあるとは聞いていましたが、これまではそんなこともなかったのです」

なぜ突然、めまいが現れたのか。その原因こそ、「副作用の掛け算」だ。

「薬は、体内にある代謝酵素によって、身体の外に出て行きます。しかし、遠藤さんの飲んでいたクラリスにはこの代謝酵素の動きを妨げる効果がある。そのため睡眠薬が体内に残り、副作用が強まったと考えることができます」(薬剤師・宇多川久美子氏)

さらに、遠藤さんは実は、これ以外に8種類の薬を飲んでいた。

これも、薬が体内に残り、強い副作用を引き起こす原因になった。

「歳をとると、肝臓で薬を分解したり、腎臓で薬を排泄する機能も衰える。たくさん薬を飲めば、身体の中に薬が留まる時間が長くなり、副作用が強く出る可能性が高くなります」(宇多川氏)

つまり、特定の薬の掛け算に加え、6種類以上の薬を飲んでいることそのものが、命を縮めるリスクになったのだ。

大量出血と意識障害

【②副作用が連鎖する】

薬の副作用が次々に現れ、命の危機につながることもある。

髙山孝典さん(71歳・仮名)の次男、隆夫さん(45歳・仮名)が語る。

「父は血が固まって詰まらないよう、一日1回、ワーファリンという薬を飲んでいたようです。今年の3月、がんの手術をして、術後の痛みを和らげるため鎮痛剤(リリカ)も処方されていました」

出血が止まらない

事故が起きたのは、がんの手術から4日後のことだった。深夜3時、病院のベッドからトイレに向かう際、ふらついて転倒し、頭部を強く打った。

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「脳の表面で出血が起きる硬膜下血腫となり、後遺症で言語障害が残りました」(隆夫さん)

高山さんのケースでも「副作用の掛け算」が起きていた。

まず、転倒の原因になっためまいは、リリカの副作用だった可能性が高い。ただ、それだけなら、ここまで重症にはならなかった。

高山さんが飲んでいたワーファリンには血液をサラサラにする効果がある。その副作用が連鎖的に働き、出血がすぐに止まらず、命の危機に瀕したのだった。

【③薬が効きすぎる】

薬を処方した医者の判断を、何も考えずうのみにしてはいけない。過剰に強い薬を出されると、薬が効きすぎて危険な目にあう。

認知症の母親(82歳)の介護をしてきた三村仁子さん(55歳・仮名)が語る。

「母は2年前から食べる量も減り、外出もあまりしなくなりました。3ヵ月前に医者に連れていくと認知症と診断され、薬も出してもらいました」

三村さんの母親が処方されたのはメマリーという認知症治療薬だったが、薬は効かず、少しずつ量が増えていった。

「だんだん怒りやすくなり、夜に大声で叫ぶこともありました。お医者さんからはレミニールという薬も処方してもらい、合計6種類の薬を飲んでいました」(三村さん)

しかし状況は改善しない。三村さんの母親は、次第に起きてこなくなり、食事もとらず、とうとう三村さんは救急車を呼んだという。

一体、何が起きたのか。

実は、体の中に大量の薬が残った結果、レミニールが効きすぎて、気分を落ち着けるはずが意識障害に陥ったのだ。

そもそも、「怒りやすくなる」という症状は、それまで飲んでいたメマリーの副作用だった。それに気づかずに、医者は追加の薬を出してしまっていた。誤った判断で薬が増やされ、命を縮めたのである。

減薬するためには

【④薬が体内にたまる】

6種類以上どころか、膨大な薬をありがたがって飲んでしまう人には悲惨な最期が待ち受けるかもしれない。

今年77歳になる奥田謙さん(仮名)は、合計20種類の薬を飲んでいた。

「関節炎のために疼痛治療薬のリリカと鎮痛剤のロキソニン、さらに高血圧の薬のノルバスクやレニベースという薬を処方してもらっていました」

他にも奥田さんは、糖尿病の薬や、利尿剤などを出されていた。おくすり手帳も持っていたが、病院ごとに分けてしまっていた。奥田さんは続ける。

「半年前のことです。朝食後に薬を飲んですぐ、だるさや吐き気を感じました。次第に意識がぐらついて、気付いたら病院にいたのです」

医者の診断は、急性腎不全だった。

多くの薬は腎臓から尿中に排泄されるが、薬が増えれば、腎臓にたまっていく。とくに降圧剤や非ステロイド系の抗炎症薬、抗がん剤は腎臓の働きを悪くしてしまう。その結果、体内からなかなか出ていかない薬が、腎臓の機能を破壊してしまうのだ。

今、病院でもらっている薬が5種類を超える場合、どうすればいいか。

「まずは、なんとなく追加で出されている薬を見直すことです。軽い降圧剤や抗コレステロール剤、胃薬など、安心のために出ている薬は、医師にやめたいと相談してみましょう」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)

病院の薬はうまく使えば、劇的に効く。逆に、使い方を間違えれば、身体の機能を大きく狂わせることになる。毎日飲んでいると忘れがちだが、薬を飲まないのが本来の姿であることを忘れてはならない。

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