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「体罰」禁止の指針 一人一人が意識変えねば(2019年12月7日配信『山陽新聞』ー「社説」)

 「たとえしつけのためだと親が思っても、子どもの身体に苦痛や不快感を引き起こす行為(罰)は、どんなに軽くても体罰に当たり法律で禁止される」

 親から子への体罰について厚生労働省の有識者会議が初めてこのように定義した。

 児童虐待の防止強化を目的に、保護者らによる体罰を禁じた改正児童虐待防止法などが来春施行されるのを踏まえ、どんな行為が体罰に当たるかの範囲や予防策をまとめた指針案で示した。意見公募を経て年度内に策定される見通しだ。

 虐待事案の多くは体罰に端を発している。だが多くの人が暗に、しつけのためなら手の甲やお尻を時々、あるいは少々たたくくらいはやむを得ないと容認してはいないか。体罰としつけを明確に区別したことは評価でき、一人一人が意識を変える第一歩としなければならない。

 具体的には、注意を聞かないことなどを理由に「頬をたたく」「長時間正座させる」「食事を与えない」といった行為を体罰として例示した。身体を直接傷つける行為に加え、暴言や無視、怒鳴るといった心を傷つける言動も同様の行為とみなす。子どもの安全を守ろうとしたり、第三者に被害を及ぼす行動を止めたりする場合は該当しない。

 体罰禁止が法制化されたきっかけは、昨年3月に船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)=東京都、今年1月に栗原心愛(みあ)さん(同10歳)=千葉県=が亡くなった事件である。どちらも親が「しつけ」を口実に虐待していた。これまでは体罰としつけの境界が曖昧だったため、虐待が疑われる事案でも児童相談所が関与しにくかったことも背景にある。

 しつけを巡っては、親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認める民法の「懲戒権」についても規定の削除を含めた議論が続いている。

 ただ虐待の根絶に向けては親をサポートする視線も極めて重要だ。指針案には、例えば片付けをしない子どもに対しイライラする時は「歌を歌っている間に片付けてみよう」と行動を共にする―といった体罰・暴言を伴わない育児の具体例も盛り込まれた。

 頭では理解できても行動に移すのは容易でない。親が追い込まれないよう、関係機関が連携して相談や援助にもより力を入れる必要がある。

 指針案で示された考え方をいかに周知し、社会全体に根付かせるかも課題だ。40年前に世界で初めて体罰を禁止したスウェーデンでは大規模な啓発活動を展開。家庭での対話を促すため牛乳パックにまで法改正の情報が印刷され、子ども向け絵本の発行や学校での指導も行われた。

 厚労省は体罰の悪影響などを説く冊子「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」を作り、全国の産科や乳幼児健診で配布している。たたかない子育てについて考える機会、取り組みを一層地域に広げたい。




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