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【パワハラ防止】弱者の目線で論議続けよ(2019年12月8日配信『高知新聞』ー「社説」)

 法律で企業にパワーハラスメントの防止対策が義務付けられるのを前に、パワハラの定義や防止策を盛り込んだ国の指針がまとまった。年内にも正式決定される。

 パワハラが社会問題化する中、これまでは対応する法律や規制がなかった。撲滅に向けた重要な一歩ではあろう。

 問題は、パワハラにはさまざまな形態があることだ。今後、想定していないケースが生じる恐れもある。現に労働者側からは指針は「定義が狭い」「企業に逃げ道を許す」といった不満が相次いでいる。

 国や企業はこうした側面に真摯(しんし)に向き合う責任がある。被害者や弱者の目線、受け止め方を尊重し、今後も対策強化に向け、議論を続ける必要がある。

 女性活躍・ハラスメント規制法がことし5月に成立した。企業にパワハラの相談態勢の整備などを義務付ける内容で、大企業は来年6月から、中小企業は2022年4月から適用される。

 指針はその前提として厚生労働省が策定を進め、労使の代表者らが入る労働政策審議会の分科会で論議、了承された。

 パワハラを(1)優越的な関係を背景に(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により(3)就業環境を害する―と定義。さらに「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」など六つに類型化した。

 該当例として「人格を否定するような言動」「長時間にわたる厳しい叱責(しっせき)を繰り返す」などを示す一方で、該当しない例も列挙した。「社会的ルールを欠いた言動を再三注意しても改善されないと一定程度強く注意」「新卒者の育成のため短期間集中的に別室で教育」などだ。

 ただ、該当例以外の事例が発生する可能性が十分あり得る。該当しない例の記述も、読み方によっては企業側の論理が通りかねない。

 被害を訴えても逆に指針が「言い逃れに使われかねない」との懸念の声が出るのは当然だ。そもそも規制法には罰則がなく、実効性の確保が大きな課題になっている。

 厚労省は10月、指針の素案を分科会に提示したが、企業側の意向が反映された内容に労働者側が反発。一部は修正されたが、審議が尽くされたとは言い難い。

 パワハラ対策は待ったなしだ。

 全国の労働局に寄せられたパワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は18年度約8万2千件で、02年度の12倍近くに達している。先日は、トヨタ自動車の社員が上司のパワハラを受けて自殺し、労災認定されたことも判明した。

 セクハラもパワハラも人の尊厳を傷つける行為だ。時に取り返しのつかない人権侵害になることを、いま一度確認したい。

 企業が絡むパワハラでは、取引があるフリーランスや就職活動中の学生の被害も問題になっている。パワハラ防止へ、社会でもう一段、意識を高めていかなければならない。




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Author:gogotamu2019
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