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高齢者施設の種類複雑「選び方分からない」 相次ぐ閉鎖、専門家「見極め慎重に」(2019年12月12日配信『京都新聞』)

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「高齢者施設の選び方が分からない」。京都市内にあった有料老人ホームが昨年8月に突如閉鎖し、入居一時金を入居者に返還していない問題の取材を続けている中で、こうした声を読者などから数多く聞いた。2000年に介護保険制度が始まってから施設数は急増、種類も多岐にわたり、分かりにくいと感じている人が少なくないようだ。最近は経営難で倒産や閉鎖に追い込まれる施設は全国的に増えており、施設選びにはより一層の注意が必要だ。施設の種類と最近の動向をまとめた。

 特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設の3種類は「介護保険施設」とも呼ばれ、介護保険サービスで利用できる公的な施設だ。いずれも入居一時金は不要で、月額料金は要介護度に応じて決まる。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など民間が主体となって運営する施設では、設備や条件によって料金体系は大きく異なり、施設選びの際はより慎重さが求められそうだ。

 京都市内の施設の定員数を種類別で見ると、今年9月末時点で、特養が6231人(100施設)と最多で、サ高住の4040人(107施設)、有料老人ホームの3352人(65施設)と続く。サ高住は2011年の制度創設以来3倍以上に伸びており、市の担当者は「建設費や改修費に対し国から補助金や税制面での優遇措置があり、民間参入が進んでいる」と説明する。

 施設選びをサポートしている一般社団法人有料老人ホーム入居支援センター(東京)の上岡榮信理事長は「施設の種類を把握しておくことは必要だが、最終的には満足できる介護サービスが受けられる施設かを見極めることが大切だ」と指摘する。

■入居率、保全措置… 重要事項説明書の熟読を

 「良い」施設と「悪い」施設を見分けるには具体的にどうすればいいのか。介護現場に詳しいNPO法人「パオッコ」(東京)代表で、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんに、民間施設を中心にポイントを聞いた。

 太田さんはまず確認すべきこととして、施設の重要事項説明書に記載されている「入居率」を挙げる。有料老人ホームでは、損益分岐点は開設後2年の時点で入居率80%程度とされ、それより低い場合は経営状態が悪い可能性がある。「逆に入居率が高ければ経営が安定し、職員確保やサービス充実につながり、それがさらなる入居希望者を呼ぶ好循環を生む」

 重要事項説明書は職員の定着率や年間の退去者数など、運営の安定度を判断する手がかりが多く記載されているという。有料老人ホームとサ高住は各都道府県や政令指定都市がホームページなどで公開しており、「必ず見てほしい」。契約時に初めて手に取る人も多く、「見学時など早いタイミングで入手してほしい」と注意を促す。

 有料老人ホームでは入居一時金が必要で、倒産や閉鎖時に一定額が補償される「保全措置」もチェックすべきという。事業者は法律上、保全措置を講じる義務があるが、守っていない事業所もあるのが実態だ。厚生労働省によると、全国の有料老人ホーム1万3354施設のうち、保全措置を講じていない施設は0・4%に当たる59施設(昨年6月時点)に上る。昨年閉鎖した京都市の施設も講じていなかった。太田さんは「最近は介護職員が十分確保できず、ケアの質を保てない事業者も存在する。早々と家や土地を売って入居するのはやめておいた方がいい」と慎重な行動を求める。

 もちろん入居後の満足度は、施設の善しあしだけで決まる訳ではない。太田さんは、地方で暮らす高齢の親を都市部に呼び寄せたものの、方言や料理の味付けの違いから施設になじめず、地方に戻らざるをえなくなったケースを数多く目の当たりにしてきた。「親が80歳ぐらいになったら本人がどうしたいかを把握してほしい。実現できないかもしれないが、どちらの方向に走ればいいかだけでもはっきりさせておくといざという時に役立つ」と強調する。

 施設選び以前に、在宅か施設かで悩んでいる人も多い。太田さんも施設介護を推奨している訳ではない。ただ、介護者が病気で倒れたり、介護離職をしたり、家族間が険悪になったりするのであれば、施設は選択肢として考えるべきだと呼び掛ける。
 「親を施設に入れることに対する罪悪感を抱く人は多いが、仕方ないケースはある。無理して在宅介護を続けてぼろぼろにならないで」



老人ホーム閉鎖、前払い3600万円返金せず 保全措置なく(2019年1月30日配信『京都新聞』)

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2018年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京

 京都市西京区嵐山の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」が昨年8月に閉鎖し、入居者8人の入居一時金など計約3600万円が未返金になっていることが29日、分かった。有料老人ホームは自治体への届け出と前払い金の保全措置が義務付けられているが、この老人ホームは未届けのうえ、保全措置も講じていなかった。市は未届けであることを2012年に把握していたが、有効な対策をとっていなかった。

 市によると、有料老人ホームの監督権限が京都府から市に移った12年4月以降、有料老人ホームの閉鎖に伴って未返金が発生したのは2例目。

 市や施設関係者によると、運営会社のスカイ(同区)は約16年前に老人ホームを開設。施設は4階建てで定員17人。代表の女性(67)が息子や従業員数人で、食事や入浴などの介護サービスを提供していた。

 代表が昨年6月、経営不振を理由に施設を閉鎖するため、入居者に同7月末までの退去を求めたという。毎月の食費とは別に、入居一時金としておおむね5年分の家賃や管理費を事前に受け取っていたため、入居後5年未満の入居者を中心にまだ使っていない残金に未返金が発生したとみられる。

 市の聞き取りに対して代表は、未返金があるのは8人で、総額は約3600万円と説明したという。だが元入居者の親族は京都新聞の取材に「代表は閉鎖時の説明会で未返金は1億円はあると話していた」と証言しており、返金を受けていない入居者や未返還になっている金額はさらに増える可能性がある。

 施設の閉鎖後、入居者16人中9人はグループホームや別の有料老人ホームといった高齢者施設に、6人は民間のマンションにそれぞれ転居したが、遠方の親族宅への転居を余儀なくされた入居者もいるという。引っ越し代をはじめ、引っ越し先での家賃や生活費も自己負担した。

 一部の入居者は専門機関や弁護士に相談したが、大半が泣き寝入りしている状態という。

 代表は京都新聞の取材に対し「いつか返金したいと思うが、今は仕事の再開に向けて動き始めているところで、いつまでに支払うという確約はできない」と話している。





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