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子どもの貧困/市町村は対策計画の策定を(2019年12月17日配信『河北新報』ー「社説」)

 政府は、貧困家庭の子どもへの支援方針や施策をまとめた「子どもの貧困対策大綱」を5年ぶりに見直し、閣議決定した。今後5年間、国の施策の指針となる。

 大綱では、貧困は家庭のみの責任ではなく、背景に多くの社会的要因があると明記した。子どもの権利条約にのっとり、子どもの「将来」だけでなく、「現在」の生活環境の改善に向けた対策を講じる-という。

 こうした視点は、従来の大綱には欠けていた。今回の大綱は、子どもの貧困に関する全国調査の実施を記載した点などを含め、一歩前進したと言えるだろう。

 だが、盛り込まれた支援策は、幼児教育・保育の無償化やひとり親の就労支援など既存の内容が並ぶ。国が新たに講じる具体策は見えず、貧困率を改善する数値目標もない。全体として踏み込み不足の感が否めない。

 大綱は、2014年施行の「子どもの貧困対策推進法」に基づく。今年6月に改正された推進法では、都道府県の努力義務としていた貧困対策の計画策定を市町村にも広げた。子どもや家庭により身近な市町村は、新大綱を踏まえて対策計画を作り、地域の実情に即したきめ細かな施策に取り組んでほしい。

 子どもの貧困対策の計画は全都道府県が策定済みだが、市町村ではまだ少ない。内閣府によると、今年6月現在で策定済みは145市町村(特別区を含む)にすぎない。

 東北では青森、山形の両県はゼロ、宮城県は仙台市と柴田町だけ。岩手、福島両県も2自治体のみだ。これに対して秋田県は16市町と取り組みが進んでいる。

 大綱は、市町村で子どもの貧困対策が実施されるよう、国による適切な支援をうたう。対策を地域で推進するには、企業やNPO団体などを含め多様な関係者らが協力し合うことが重要となる。

 ただ、都市部以外の地域では、支援に関わるNPOなどが少なく、あったとしても、財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)などの課題を抱える団体が多い。行政は地域で活動する団体への支援や育成にも力を入れる必要があるだろう。

 大綱では、貧困の実態把握のための指標を従来の25項目から39項目に拡充した。新たな指標からは、支援が必要とされるひとり親世帯の厳しい現実が見える。

 電気やガス、水道料金の未払いを経験したことがある割合は、子どもがいる全世帯では約5~6%だが、ひとり親世帯では約14~17%に跳ね上がる。必要な食料が買えなかった体験もひとり親世帯では約35%に上る。ひとり親世帯の親の就業率は約81%だが、貧困率は約51%だ。

 国や自治体は現実を直視し、当事者や支援団体などの声に耳を傾けながら、子どもと家庭を包括的に支援する対策につなげてほしい。





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