FC2ブログ

記事一覧

体罰禁止の指針/社会に根付かせる具体策を(2019年12月22日配信『河北新報』ー「社説」)

 体罰に頼らない子育てに向け、大きな一歩となるよう期待したい。

 子どもへの親の体罰を禁じた改正児童虐待防止法の来年4月施行を受け、厚生労働省が体罰の定義や、しつけとの違いを明確にした指針案をまとめた。今月中にパブリックコメント(意見公募)を実施し、本年度中に最終的な指針を示す。

 ただ、体罰やしつけに関して不安、悩みを抱えながら育児する保護者は多い。そうした親が孤立しないよう、子育て支援プログラムや相談体制を充実させるなど、体罰を防ぐサポートが不可欠だ。

 指針案は体罰を「子どもの身体に苦痛や不快感を引き起こす行為(罰)」と初めて定義した。「しつけのため」と親が思っても、どんなに軽いものであっても該当する。具体例として「長時間正座させる」「頬や尻をたたく」「夕食を与えない」などを挙げている。

 一方で、しつけは子どもの人格や才能などを伸ばし、子どもをサポートして社会性を育む行為と説明する。しつけでは、発達しつつある能力に応じ、言葉や見本などで本人の理解できる方法で伝える必要がある-と記した。

 しかし、体罰を「しつけのためやむを得ない」と容認する声が社会に根強くあるのも事実だ。

 子どもを支援する公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京都)が2017年、約2万人を対象に実施した意識調査では、大人の約6割が体罰を容認している。子育て中の親では、約7割が実際に体罰をした経験があった。

 体罰を受けて育った人ほど体罰を容認する傾向があり、世代間の連鎖が懸念される。虐待につながる恐れがあり、虐待そのものの場合もある。幼児虐待事件では、親が「しつけ」と称して正当化するケースが後を絶たない。

体罰の禁止が法律で明文化されたのを契機として、一人一人がこれまでの意識を変える必要がある。

 では、体罰に頼らず、どう子どもに接するのか。指針案には、子どもの自己肯定感を育むしつけ方法や、親が育児に困ったときの助言なども盛り込まれた。今後は、指針案の内容をどう社会に根付かせていくのか、具体策が課題となろう。

 指針案で体罰が定義された背景には、しつけとの境界が曖昧で、虐待が疑われる事案で児童相談所(児相)が関与しにくかった事情もある。指針が定まれば、児相による立ち入り調査や子どもの一時保護に有効となろう。

 ただ、体罰や虐待を親個人の問題に矮小(わいしょう)化してはなるまい。貧困や格差などが絡んだ社会の構造的問題と捉え、対策を講じる必要がある。子どもを守るため、関係機関や地域が連携し、親への支援体制も拡充したい。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ