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「政府、もっと危機感を」 電通新入社員自殺4年 まつりさん母が手記(2019年12月25日配信『日本経済新聞』)

広告大手電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)が、長時間労働やパワハラに苦しんだ末に自殺してから25日で4年。母の幸美さん(56)は「日本政府は若者が長時間労働やハラスメントが原因で亡くなっていることに、もっと危機感を持って対策に取り組むべきです」とする手記を公表した。

まつりさんの自殺を機に電通の違法残業が発覚。法人としての電通は罰金50万円が確定し、再発防止の取り組みを進めていたが、2018年に社員の違法残業などがあったとして、三田労働基準監督署が今年9月に是正勧告した。

幸美さんは「娘の命と尊厳がまたも踏みにじられた思いです。電通の社風は1人の社員が死んだぐらいでは変わらないだろうという私の予想通りでした」と電通を批判。「グループ全体の労働環境の改革に取り組んでいくことを希望します」と記した。

今年8月に三菱電機の20代の男性新入社員が過労自殺し、兵庫県警が自殺教唆容疑で教育主任の30代男性社員を書類送検した。ほかにも長時間労働やハラスメントを巡る労災認定も後を絶たない。手記では「命がこれほど軽んじられていることについて、国民はもっと声を上げてほしい」とも呼びかけた。

まつりさんが生きていたら28歳になっていると思いをはせ、「まつりの友人が結婚や出産をしたと聞くたびに、あぁ…まつりは本当にいないんだなぁと改めて思い知らされます」と心情をつづった。

幸美さんは過労死等防止対策推進協議会の委員となり、厚生労働省の会議や各地のシンポジウムなどで労働環境の改善や過労死防止を訴えている。「若者たちが生き生きと働き幸せな人生を送れる国になるように、皆さんとまつりと共に力を尽くして参ります」と決意を示した。

誰もが安心して働ける社会、まつりと共に作る…母の手記全文

 まつりと会えなくなったつらいクリスマスが、まためぐってきました。これまでの4年間、あたたかく見守り、寄り添ってくださったみなさまに感謝を申し上げます。

 しかし、娘を失った悲しみは、どんなに時が過ぎても癒えることはありません。まつりの笑顔が私の幸せ、生きる希望だったからです。

 まつりは元気で明るくおしゃべりな娘でした。富士山を眺望するふもとの町でまつりと一緒に過ごした日々は、私の大切な宝物です。

 小川でカニを捕まえたり、レンゲやつくしを摘んだり、公園に行くとブランコを思いっきりこいで、「お母さん見て!」と言っていた無邪気な笑顔ばかり思い出されます。

 おとなになったあの子は「私は赤ちゃんを産んでも働くから、お母さんが育ててね。お母さんが絵本を読んでね。私にしてくれたみたいに……」と言いました。

 まつりが生きていたら28歳。まつりの友人が結婚したり、出産したりしたと聞くたびに、あぁ、まつりは本当にいないんだなぁと改めて思い知らされます。

 「日本のトップ企業の電通で、国を動かすような様々なコンテンツの作成に関わりたい」「人と密にコミュニケーションをとり、意見や利害の調整をしていくことが、社交的で責任感のある自分に向いている。文章を書くことも得意」と、希望を持って電通に入ったのに、会社の中にあったのは異常な社風と過重労働、ハラスメントでした。

 そんな中でも、まつりは責任感をもって、成果を出すためにどんな仕事でも全力で頑張りつづけました。

 「こんなにつらいと思わなかった」「退職か休職か自分で決めるから、お母さんは口出ししないでね」。人事に相談したのに、過重労働は無くなりませんでした。

 クリスマスの朝、まつりはどんなに怖かっただろう。どんなにつらかっただろう。どんな思いで町を眺め、死を選んだんだろう。

 今もそのことばかり考え、すぐに駆けつけなかった後悔で胸が張り裂ける思いです。

 電通は、社長を筆頭に労働環境の改革を誓い、法令順守、社員の健康を守る労務管理を優先し、取り組んでいます。しかし先日、再び過労死ラインの2倍というひどい時間外労働で是正勧告を受けていたことが明らかになりました。

 (1991年に過労自殺した電通社員の)大嶋一郎さんや娘の命と尊厳がまたも踏みにじられた思いです。

 電通の不眠不休で業績を上げてきた社風は根深いものがあり、ひとりの社員が死んだくらいでは変わらないだろうという私の予想通りでした。

 電通の社長は、来年1月発足する「電通グループ」の社長に就任するとのことですので、今後決意を新たにして電通グループ全体の労働環境の改革に取り組んでいくことを希望します。

 電通から長時間労働が無くなっていなかったように、この国からいっこうに過労死・過労自殺は無くなりません。あらゆる職場で何人もの若者が亡くなっています。毎月のように過労死が公表されています。

 日本政府は、若者が長時間労働やハラスメントが原因で亡くなっている事に、もっと危機感を持って対策に取り組むべきです。経済界はもっと人を大切にするべきです。国民あっての経済成長ではないでしょうか。

 政府は過労死ラインの時間外労働を認める法律をすぐにでも改正し、すべての職場で長時間労働やハラスメントを禁止し、過労自殺を出した企業や経営者、管理監督者、ハラスメント加害者に対して厳しい罰則を科するべきです。

 人を殺あやめたら加害者は逮捕され、刑事罰を受け、公表されるように、職場内で起きた人権侵害や過労死、過労自殺は社名を公表し、加害者は刑事罰を負うべきです。労基法違反で是正勧告を一度でも受けた会社は公表するべきです。

 日本の国民の命がこれほど軽んじられている事について、国民はもっと声を上げて欲しいと思います。

 娘が書いた作文の一節を紹介します。「働くことの大きな目的は自分や家族を養うために収入を得ることではあるけれど……好きな仕事をする喜び、人との関わりや達成感、喜怒哀楽を通じて、人としての大切な心構えを成長させることが、仕事の本質だと思うのです」。

 私は今年1年、過労死等防止対策推進協議会の委員として、子どもを過労自殺でなくした親の立場で、厚労省での会議、各地での過労死等防止対策推進シンポジウム、大学や高校の過労死防止啓発授業で学生や経営者の方々に娘が置かれた労働環境や過労死の防止対策について訴えました。

 引き続き、日本国民の労働への意識が変わり、誰もが安心して働ける社会を作り、若者たちが生き生きと働き、幸せな人生をおくれる国になるように、みなさんとまつりと共に力を尽くしてまいります。





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