FC2ブログ

記事一覧

氷河期世代の支援/長期間のフォローが必要だ(2019年12月24日配信『河北新報』ー「社説」)

 就職氷河期世代を支援する総合的な行動計画を政府がまとめた。国家公務員の中途採用枠で重点的に採用するため統一試験を実施する-などが主な内容だ。就職後も含む丁寧な支援をこの世代に対して継続的に行ってほしい。

 1990年代半ばから10年以上続いた就職難の時期に大学などを卒業した氷河期世代は現在、30代後半から40代後半を迎えている。本来なら働き盛りの年代だが、能力を十分に発揮できないまま非正規雇用や無職の人が多い。

 雇用状況が改善しているとはいえ、なお氷河期世代の正規雇用が思うに任せない現実を政府は重く受け止めなければならない。デフレ不況という本人には何の責任もない外的な要因によって、雇用を逸した世代だからだ。

 有効な手だてを10年以上も講じられないまま、就職難の不況を放置した経済失政の責任は重い。最大の被害者であるこの世代の支援に国は全力を尽くすべきだ。支援が不十分だと、高齢化して生活保護に頼るしかない人が多く出るとの予測もある。

 正確な試算は困難だが、そうなれば国の財政負担もまた非常に重くなり、少なく見積もっても年間に生活保護費が約30兆円にも上るという一部の試算さえある。氷河期世代に対して効果的な支援を急がないと、将来に禍根を残すことになりかねない。

 行動計画の目玉の一つである国家公務員の中途採用案は以前からあったが、人員増の制限などがあって見送られてきたという。国が率先することで、採用にそれほど積極的ではない企業の意識改革を促す効果も見込めよう。

 交付金制度を創設し、自治体ごとの計画策定を求める支援策も示された。兵庫県宝塚市がこの夏、氷河期世代を対象に正規職員を募集し、競争率が約600倍になったケースを思い起こしたい。

 氷河期世代の就業意欲は高く、他の自治体も積極的な採用をぜひ行ってほしい。非正規雇用を余儀なくされ、研修など人的投資が十分にはなされなかった人材も多いが、能力的に問題があるわけでは決してないからだ。

 このほか、全国のハローワークに専門窓口を設けて、就職から職場定着まで一貫して支援する。さらに、引きこもり状態の人に対しては戸別に訪問して相談に乗る支援員を配置し、ボランティア活動を勧めたり、家族の相談会を開いたりするという。

 きめ細かな支援策による息の長いフォローが求められよう。氷河期世代は運よく正規雇用を得ても、ブラック企業で使い捨てにされたり、低賃金の労働を余儀なくされるなど、理不尽な処遇に直面してきた世代である。

 彼らの能力を十分に生かせなかった国の雇用政策は莫大(ばくだい)な社会的損失を生んだ。そうした反省は、政府も企業も共有しなければならない。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ