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根にある構造を改めねば 介護施設の虐待



 介護施設の職員による高齢者への虐待がやまない。深刻な実態の一端が厚生労働省の調査であらためて浮き彫りになっている。

 昨年度は620件を超え、過去最多を更新した。12年続けての増加である。暴行や拘束といった身体的虐待が半数以上を占め、暴言などの心理的虐待が次いで多い。長時間の放置を含む介護放棄も2割近くあった。

 被害を受けた高齢者は920人余に上る。その8割以上が認知症の人だった。虐待したのは若い職員が多いという。

 認知症の高齢者は意思の疎通が難しい場合が少なくない。知識や経験が乏しい職員が、どう対応していいか分からず、いら立ちをぶつけたり、力ずくで言うことを聞かせようとしたりして虐待が起きていると指摘されてきた。

 研修や職場での教育を充実させることが必要だが、介護現場はその余裕を欠いているのが実情だ。人手が足りず、入れ代わりも激しいため、経験が浅い職員にも任せざるを得ず、職員同士で補い合う態勢も取りにくい。

 時には命にも関わる虐待が後を絶たない背景に、人手不足による現場の負担増がある。そのことは以前から言われながら、状況が変わってきたように見えない。

 処遇の改善は図られているものの、介護職員の給与は依然、全産業の平均より月10万円近く少ない。それでいて夜勤もある仕事はきつく、離職者の3人に2人が勤続3年未満だという。

 担い手不足は今後さらに深刻化し、2025年度には34万人足りなくなると見込まれている。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めるが、場当たりの対策は根本的な解決にはつながらない。

 介護職は高齢化社会を支える重要な仕事だ。命を預かる重い責任も伴う。その職責に見合う処遇を保障し、労働環境を改善することに政府は本腰を入れて取り組まなければならない。

 施設での虐待は今年に入っても各地で明らかになっている。松本では、民間経営のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で施設ぐるみで行われていた。腰や手足を縛りつけて動けなくしたり、柵や壁で四方を囲んだベッドに寝かせたりしていたという。

 安否確認や生活相談のサービスを提供する入居施設だ。届け出れば民間業者も開設できる。担い手不足の問題とともに、参入規制の緩和で、利益優先のずさんな施設運営が虐待につながっていないかを厳しく見ていく必要がある。




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Author:gogotamu2019
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