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暮れゆく2019年 新時代の声に耳澄まそう(2019年12月31日配信『新潟日報』ー「社説」)

 平成から令和へ新たな時代の実感を深めながら、1年を過ごした人は多いのではないか。

 平成の30年余は、バブル崩壊やリーマン・ショックに見舞われ、経済的には低迷したが、平和は維持されてきた。

 4月30日に天皇を退位した上皇さまは、先の敗戦を胸に国民の平和を願われてきた。

 平和の願いは、令和の時代も守り続けたい。

◆両陛下と多様な社会

 「国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって、わが国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」

 天皇陛下は10月22日、内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」でこうお言葉を述べた。

 陛下は5月1日に即位して以来、皇后さまと共に国民に寄り添い公務を果たしてきた。

 両陛下に共通するのは、多様な社会への深い理解だ。

 天皇陛下は、若い頃から留学などを通して国際感覚を磨いた。皇后さまも元外交官の経歴を持つ。

 「国際社会の友好と平和」の言葉には、上皇さま、上皇后美智子さまの歩んだ道をさらに確かなものにする強い決意があるはずだ。

 日本は国際化が進み、文化的背景が異なる多様な人たちが大勢暮らす社会となっている。両陛下が、新時代にふさわしい皇室像をどう築くか見守りたい。

 両陛下は、障害者や被災者らへの優しいまなざしも引き継ぐ。

 9~11月に本県で行われた「国民文化祭」「全国障害者芸術・文化祭」の開会式にそろって出席し、障害者施設も訪れた。一層親しみを感じた県民も多いだろう。

 日本で初めて開かれたラグビーのワールドカップ(W杯)は、日本が初のベスト8に進出した。

◆勇気与えたW杯代表

 選手のほぼ半数は外国出身だった。そんな日本代表のスローガン「ワンチーム」は今年の流行語大賞に選ばれた。

 先発、控えの選手がそれぞれの役割を果たし、一丸となって勝利を目指す。上からの指示を待つのではなく、自主性を尊重する。

 「ワンチーム」の姿はラグビーに関心がなかった人たちをも引きつけ、元気と勇気を与えた。ラグビーを自分たちの地域や職場に置き換え、「桜の戦士」を手本のように見たファンも少なくなかっただろう。

 人種や国籍、文化の違いを超えてファンや選手が交流する楽しさも実感できた。日本が向かうべき「開かれた社会」のモデルが、そこにあったように見える。

 来年は東京五輪・パラリンピックだ。交流の輪を広げ、多文化社会をさらに根付かせたい。

 本県出身の稲垣啓太選手は8強入りを懸けたスコットランド戦で代表初トライを決めるなど、目覚ましい活躍を見せた。目標の優勝に向けて4年後も楽しみだ。

 この1年、国内では巨大台風や豪雨などの自然災害が相次いだ。多くの人が命を落とし、住まいを失った。農作物などにも大きな被害が出た。

 このまま手をこまねいていては異常気象による被害はさらに深刻になると予測されている。根本的な対策は、温暖化をどう抑えるかにかかっている。

 次の世代を担う若者たちは、この問題を深刻に受け止めている。その声に耳を澄ませたい。

◆街頭に立つ若者たち

 「私たちの家は焼け落ち始めています。残された時間は急速になくなっています。それなのに本質的なことは何一つ起きていない」

 スウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんがまっすぐなまなざしで、温暖化対策に消極的な世界のリーダーたちに対峙(たいじ)する姿は若者たちの共感を呼び、大きなうねりとなった。

 海外の研究機関によると、日本は昨年、西日本豪雨で200人以上が死亡するなど、世界で最も気象災害が大きかった国だった。

 日本でも欧米ほどの規模ではないにせよ、それまでデモに繰り出した経験を持たない若者たちが街頭で声を上げた。

 問われているのは、私たち大人がつくり上げてきた今の社会だ。次の世代に胸を張って託すことができるものなのか。

 温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出をゼロにするのは並大抵なことではないが、希望はある。

 電気自動車などに使われるリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、受賞記念講演で「技術革新により持続可能な社会は近い将来、実現できる」と展望した。

 一つの発明が社会を大きく変える事例も身近にある。

 日本の環境技術を飛躍的に高め、それを活用する国際社会を早急に築きたい。その道筋を示すのが、私たち大人の責務である。



明日の風はどこへと吹くのか(2019年12月31日配信『新潟日報』ー「日報抄」)

 新潟の冬といえば風がつきものだ。大陸から吹き寄せる北西の季節風である。海沿いでは、横なぐりに人や街路樹をなぎ倒さんばかり。列島の背骨である山脈に突き当たれば、もさもさと降り積もる雪をもたらす

▼古くから人は風を読み、生きるすべを手にしてきた。風を捉えて船の帆を張った。風向きを感じ取り、翌日の空模様を推し量った。先人にあやかり時代の風も読めるといいが、わが目の曇りをぬぐい去るのはなかなか難しい

▼明日は明日の風が吹くという。「なるようにしかならない」と受け止めれば、どこか開き直ったようでもある。「いずれ違った展開もあり得る」と解釈すれば、将来に対する戒めとなるか。はたまた希望を持てという励ましか

▼今日と明日。令和最初の年越しとはいっても、わずかに1日、時が行き過ぎるだけである。その間にどれほどの違いがあるものか。明日になれば違う世界が現れるわけではない。年明けとともに目下の課題が解決する-そんなことはなかなか望めない

▼ただ、人の世には暦がある。大みそかから元日へ。2019年から20年へ。ほんの1日、時間が進むだけなのに、世の中の年輪が一つ重なる。歴史の地層が一つ積み上げられる。何はともあれ、暦の節目には人の心もかちりと切り替わるようだ

▼明日の風はどこへと吹くのか。今年幸運に恵まれた人は、再びいい風向きとなりますように。つらいことが多かった方は、温かい風が背を押してくれますように。皆さま、よいお年を。





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