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1年を振り返る 改元と頻発した気象災害(2019年12月31日配信『山陽新聞』ー「社説」)

 2019年の世相を表す漢字は「令」だった。30年余り続いた「平成」から「令和」へ。5月の改元で多くの人が時代の変わり目を意識した。だが、残念ながら元号が変わっても、自然災害の脅威は避けられないという現実を思い知らされた年でもあった。

 9月に首都圏を直撃した台風15号では送電用鉄塔の倒壊などで大規模停電が発生。10月に東日本を縦断した台風19号では各地の河川が氾濫し、災害関連死を含め90人以上が犠牲になった。川崎市のタワーマンションは地下の電気設備への浸水で一時生活困難になり、災害による多様なリスクを見せつけられた。

 岡山県内でも9月、新見市で局地的豪雨があり、土砂崩れや住宅の浸水などの大きな被害が出た。地球温暖化の影響で今後も豪雨など気象災害の頻発が予想されている。備えを進めなければならない。

 温暖化対策の強化が急がれるが、各国は踏み込んだ合意に至ることはできなかった。むしろ、世界を見れば排外主義や自国第一主義が台頭し、分断が広がっている。米中は貿易摩擦で応酬を続け、英国の欧州連合(EU)離脱問題は、迷走の末に離脱が確実になった。日韓関係は国交正常化以来最悪といわれる事態を脱していない。北朝鮮問題も2度の米朝首脳会談が注目されたものの進展せず、非核化の先行きは不透明なままだ。

 国内でも衝撃的な事件が続いた。7月、京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」が放火され、社員36人が死亡。殺人事件としては平成以降、最悪の惨事となった。10月には那覇市の首里城から出火し、正殿や北殿などが焼失した。

 胸の痛むニュースが多い中、明るい話題を提供したのはスポーツだった。秋に初めて日本で開催されたラグビー・ワールドカップ(W杯)で日本は初の8強入り。女子ゴルフでは8月、岡山市出身の渋野日向子選手が全英女子オープンで優勝を果たした。

 ノーベル化学賞に旭化成名誉フェローで、リチウムイオン電池を開発した吉野彰氏が選ばれたのも朗報だった。企業の研究が日本の科学技術力を支えていることを示した。

 政治に目を向けると、安倍晋三首相の通算在職日数が11月、明治・大正期の桂太郎首相を抜いて歴代最長となった。まれにみる長期政権となったが、弊害の方が目立つと言わざるを得ない。相次ぐ閣僚の辞任や大学入試制度での混乱、首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑が持ち上がり、年の瀬にはカジノを巡る汚職事件も発覚した。

 何より問題なのは政権が国会を軽視し、国民に真摯(しんし)に説明を尽くす姿勢がみられないことだ。「桜を見る会」では招待者名簿が廃棄されていた。昨年の官僚による公文書改ざんに加え、政府への不信感は募る一方だ。令和の時代、改めて民主主義の根幹が問われていると言えるだろう。



来年が平和で明るい年にと願う(2019年12月31日配信『山陽新聞』ー「滴一滴」)

 きょうは、いよいよ大みそか。元号が平成から令和に改まったこの1年を、本紙ちまた欄の「時事せんりゅう」で振り返る

▼〈令和書き横にへいわとルビを振る=信吉〉。新たな時代に期待を込めた。日本の新時代は宇宙にも。〈文明の力を借りて竜宮へ=昌子〉。探査機はやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」に世界初の人工クレーターをつくって試料採取した。持ち帰る“玉手箱”が楽しみだ

▼消費税アップに〈増税で家計極細火の車=充〉。それなのに税金を使った「桜を見る会」に安倍晋三首相の地元後援者らが多数参加し、私物化が追及された。内閣府の招待者名簿廃棄を隠蔽(いんぺい)と見る向きも。〈内閣府年末余興のかくし芸=勲〉

▼こちらの桜は人々を熱狂させた。日本初開催のラグビー・ワールドカップ、日本代表は桜のエンブレムを胸に8強入りを果たした。〈桜散るそして勇気の花開く=美鈴〉

▼ゴルフ界に大輪の花を咲かせたのは渋野日向子選手(岡山市出身)。〈無名からスター選手のゴルフ界=芙美子〉。実質プロ1年目で全英制覇など快挙に列島が沸いた

▼師走に衝撃が走った。アフガニスタンで支援活動してきた医師、中村哲さん殺害の悲報だ。献身的活動は「真の支援」を人々の心に植え付けた。〈中村さんノーベル平和賞天国で=裕敏〉。来年が平和で明るい年にと願う。





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Author:gogotamu2019
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