FC2ブログ

記事一覧

国際この1年 世界が不安にさらされた(2019年12月31日配信『熊本日日新聞』ー「社説」)

 現実から目をそらし、主義主張を押し通す。威嚇や暴力による統治も辞さない。為政者らのそんな振る舞いによって、世界が不安にさらされた1年ではなかったか。

象徴的な香港デモ

 最も象徴的だったのが、香港の民主化デモを巡る動きだろう。香港立法会(議会)で審議されていた中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモは6月からほぼ毎週発生。催涙弾が飛び交い、大勢の死傷者が出る事態となった。

 11月に実施された香港区議会選挙では、民主派が8割超の議席を獲得して圧勝。しかし、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、普通選挙の実施など民主派が掲げた「五大要求」のうち、「逃亡犯条例」改正案の撤回には応じたものの残りの要求は拒否したままだ。

 中国の習近平指導部も「暴力と混乱を制止する」との強硬姿勢を変えていない。民意を重く受け止め、高度の自治を保障する真の「一国二制度」を実現するべきだ。

 元徴用工訴訟を巡る日韓の対立も緊迫度を増した。日本が対韓輸出規制を強化したことに反発した韓国は、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定。失効直前に撤回し、貿易管理体制について協議する方針に転換したが、年末の首脳会談でも主張の隔たりは埋まらなかった。

 北方領土を巡る日本とロシアの交渉も暗礁に乗り上げた格好だ。安倍政権は今後もあらゆる機会を捉えて、韓国やロシアとの対話や交渉を重ねる必要がある。

 北朝鮮の非核化を巡っては、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長が2月にハノイで2回目の首脳会談を行ったものの事実上決裂。6月にも板門店[パンムンジョム]で会談したが交渉は進まなかった。

続く米国第一主義

 米国第一主義を掲げるトランプ政権と主要国との関係悪化も、世界を不安にさせた。

 米中貿易摩擦は、米国の対中関税引き上げと、中国の報復関税の応酬が続き、9月には両国が第4弾の制裁関税を発動した。12月の協議では和解の第一歩となる措置に合意したが、米国が求める中国の構造改革は先送りされ、対立の火種を残した。

 イラン核合意を巡っては、米国の制裁再開に反発したイランが5月に合意履行の一部停止を宣言。イラン沖のホルムズ海峡周辺で5月以降、日本のタンカーなどが攻撃される事件があり、米国が船舶警護の有志連合を結成するなど緊張が高まっている。

 8月には、米国と旧ソ連が1988年に発効させた中距離核戦力(INF)廃棄条約も失効した。米国は失効後に中距離ミサイル発射実験を行い、ロシアもミサイル開発を警告するなど武器開発競争に突入。米国は中国を交えた新たな軍備管理の枠組みづくりに意欲を示すが、中ロは否定的だ。

 トランプ政権も、国内では不安材料を抱える。トランプ氏がウクライナに対し軍事支援継続などの見返りに、民主党のバイデン前副大統領に関するスキャンダル探しをするよう圧力をかけた疑惑が浮上。下院で弾劾訴追された。

少女の痛烈な問い

 12月に行われた英下院総選挙では、欧州連合(EU)離脱を訴えたジョンソン首相率いる保守党が単独過半数を得て大勝。来年1月にも離脱することが確実となった。その後、EUなどとの通商交渉も始まろう。日本も対応を急がねばならない。

 9月に国連で開かれた「気候行動サミット」では、スウェーデンの少女、グレタ・トゥンベリさんが「私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」と演説。各国の首脳らに温暖化対策を訴えた。少女の痛烈な問いに国際社会はどう応えるのか。将来を見据えた誠実な説明が求められている。



公私混同(2019年12月31日配信『熊本日日新聞』ー「新生面」)

 亥[い]年もきょうまで。「猪突猛進[ちょとつもうしん]」など前向きで勇ましいイメージもあるイノシシだが、近年は堂々と人里に現れて田畑を荒らしたり、通勤途中の会社員に体当たりしたり。「獣害」やら「アーバンイノシシ」やらとやゆされ、評判は芳しくない。今年は豚コレラウイルスの運び屋の汚名も着せられ、年男の小欄には何とも肩身の狭い1年となった

▼それも過疎化が進み、頻発する豪雨災害によって里山のえさ場が減ってのことか。少子化や地球温暖化など人間の営みが背景にあるとすれば、イノシシばかり責められまい

▼事が起こってから慌てて対策を講じることを、「猪[いのしし]見て矢を引く」と言うが、今年を振り返れば、そんな始末の何と多かったことか。安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡る政府対応も、ご多分に漏れない

▼公私混同、税金を使った選挙運動ではないかといった首相への批判が高まると、見計らったように招待者名簿が廃棄され、バックアップデータも無きものに。政権は、早々に来年の中止を決定。予算や招待数の見直しも決めたが、そうした対策がかえって疑念を深めているような

▼首相をファーストネームで呼ぶトランプ米大統領も、ウクライナ疑惑で弾劾訴追の不名誉を受けたまま越年する。こちらもあの手この手で批判回避に躍起のようだ

▼あすからは子[ね]年。ささいなことと思っても、積もり積もれば重大事に至ることがある例えに、「鼠[ねずみ]が塩を引く」というのがある。年越しに当たって日米の首脳にささげたい戒めである。





スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ