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26席に1944人 やまゆり園事件、裁判傍聴希望の思い(2020年1月9日配信『神奈川新聞』)

相模原障害者施設殺傷

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26の一般傍聴席を求めて、足を運んだ人々。整理券を受け取るため、長い列ができた=8日午前9時40分ごろ、横浜市中区の象の鼻パーク

 相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(29)の初公判は世間の大きな注目を集めた。横浜地裁近くの象の鼻パーク(横浜市中区)には8日朝、用意された26席の一般傍聴券を求め、1944人が長い列を作った。倍率は約75倍。冷たい雨が降りしきる中、人々はどんな思いで並んだのか、聞いてみた。

 「彼の考え方を理解しようとは思わないが、人ごととは思えなくて」。そう話したのは、整理券の配布開始1時間前の午前8時ごろから列に並んだ東京都八王子市の男性(30)だ。

 自身は被告と同年代で同じ母校、医療機関の精神科で介護に携わった経験を持つ。「被告と自分は何が違ったのか。逮捕され、自由を奪われた中、考えを変えたり事件を悔いたりすることなく、主張が一貫している。何が彼を変えたのか、それが知りたい」

 特別支援学校でインターンシップ中の大学3年の女子学生(21)=藤沢市=は「障害児と向き合う時、言いたことが伝わらなかったり、相手の気持ちが分からなかったりして、つらいこともある。でも、うれしいことや楽しいこともある。なぜ事件を起こしたのか、直接聞きたい」と話す。

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激しい雨が降る中、初公判の傍聴を希望する障害者らも多く駆け付けた=8日午前9時50分ごろ、横浜市中区の象の鼻パーク

 沖縄県から足を運んだ人もいた。同年代ということから被告に関心を持ったという女性会社員(29)は「障害があるかないか、生産性があるかないか。そうした枠組みをつくり、人の価値を判断する被告の考え方を否定したい」。公判に対しては「当時のやまゆり園に問題点があったとすれば、それも明らかにしてほしい」と期待する。

 横浜市の主婦(52)は犯行動機や生い立ち、生活環境が知りたいと列に加わった。「意思疎通がとれない障害者は安楽死させるべき」という被告の主張に触れ、「事件後も社会は不寛容のまま。被告と似たような考えの人がいるかもしれない。もっと社会が寛容になってほしい」と語った。

 「誰かが被告に手を差し伸べていたら、結果は違ったのかもしれない」と悔しさをのぞかせるのは川崎市川崎区の歯科衛生士渡辺淑子さん(58)。

 事件後、社会では「共生」といった言葉に焦点が当たる。「社会は変わったと信じたいが、何も変わっていない。自分は(障害者と)関係ないところにいたいという気持ちを持った若い人が多くいるのでは」
県内の障害者福祉施設で働く40代の女性は同僚と訪れた。被告が法廷で自説を振りまく“独演”を懸念しつつ、「社会のあり方を全体で考える機運が高まってほしい」と願った。

 生後6カ月の長女を抱えて順番待ちをしていたのは横浜市港北区の主婦(36)。悪天候に外出をためらいもしたが、「わが子のために」と来訪を決めた。長女に障害はないが、「多くの人が殺され、しかも差別によって犠牲になった。この子のためにも、二度とこのような事件が起きる社会になってほしくない」。




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Author:gogotamu2019
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