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ゴーン被告会見 主張に説得力あるのか(2020年1月10日配信『東京新聞』-「社説」)

 日産前会長のゴーン被告がレバノンで会見した。日本メディアの大半を締め出し日産や日本の司法制度を批判した。だが逃亡先での主張自体に説得力があるのか、強い疑問を持たざるを得ない。

 会見でゴーン被告は日産再建への貢献を強調した上で、日本の司法の在り方を厳しく批判。事件の背景に日産幹部による「クーデターがあった」と断定し、日本政府も加担しているとした。

 確かにルノーとの経営統合について日産社内に反対論が強かったことは事実だ。統合反対派が監督官庁の経済産業省を巻き込み追い落としを図ったとの主張は可能性としては否定できない。

 だが、経営路線の対立をめぐる経営者の解任劇は国内外で頻繁に起きている。それが仮に「クーデター」だったとしても事件の本質はそこにはない。今回、最も解明されるべきは、被告が日産の経営をめぐり法に触れる行為を犯したかどうかだ。

 具体的には、報酬額を過少申告した金融商品取引法違反と、中東の日産子会社を舞台にした巨額資金の実質自分口座への還流(特別背任)が事実かどうかである。会見では、この疑惑について納得できる説明はなかった。

 社内確執や司法制度への非難が妥当だとしても、問題の核心部分をすり替えようとしたとの見方も可能だ。本来、自分への疑いについて司法の場で訴えるべきなのは言うまでもない。ましてや大企業を率いる世界的経営者だった人物だ。恥ずべきふるまいだと非難せざるを得ない。

 被告は経営危機に陥った日産に乗り込み再建した。彼が来なければ日産の存続は危うかっただろう。ただ再建の過程で職を失った人々や、取引停止で倒産した中小零細企業は多い。

 しかし膨大な犠牲の上に成り立った再建についての検証が行われたとは言い難い。それどころか歴代の日産の幹部たちは、一経営者による権力集中を長期間野放しにした。これは事実上の企業統治の放棄であり、彼らへの批判も避けては通れないはずだ。

 さらに指摘したいのは、被告が莫大(ばくだい)な資産を所有し、各国為政者とも親交があるという点である。軽々と非合法手段を行使する姿は、税逃れをする巨大IT企業に重なる。

 国の枠を超え活動する経営者へのチェックについても、緊密に国際連携を図れる仕組みの構築を強く望みたい。




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