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ゴーン被告会見 なぜ法廷で主張しない(2020年1月11日配信『中国新聞』ー「社説」)

 国際世論を味方に付けたいというパフォーマンスに終始したように映る。中東レバノンに逃亡した前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告が現地で記者会見した。

 「推定有罪の原則がはびこっている」「公平な裁判を受けられる望みを失った」と、日本の司法制度を批判しながら、自らの潔白を訴えた。

 だが一方的に言い分をまくし立てるだけでは、説得力はない。どんなに熱弁を振るっても国外逃亡は正当化できまい。

 本当に無実ならば、日本に帰り堂々と法廷の場で語るべきだ。「日本の司法が不公平だ」と主張するなら、その証拠を示す必要があろう。

 ゴーン被告は2018年11月に初めて逮捕され、特別背任など計4事件で起訴された。東京地裁は今年4月にも初公判を開く予定だったが、昨年末にプライベートジェット機で違法に出国したとみられている。

 会見ではプロジェクターで「無実の罪を晴らす」証拠を示しながら東京地検特捜部の主張に反論した。陰謀を企てたとして、西川(さいかわ)広人前社長ら日産幹部の実名を挙げながら非難した。

 さらには日本政府関係者の関与もほのめかした。具体的な根拠も示すことなく、持論を展開しただけではないか。あまりに身勝手すぎる。

 現地のレバノンなどを除けば、海外メディアの報道もおおむね冷ややかな受け止めが目立ったのも当然である。

 そもそも記者会見に招かれたメディアは、これまでの報道内容をチェックし、ゴーン被告自らが出席の可否を決めたという。日本の報道機関で出席できたのは3社だけだった。

 メディアの選別は重大問題である。やましいところがないのであれば、どんなメディアの質問にも答えることができたはずだ。厳しい質問を避け、都合の良いことだけを主張したのであれば、自作自演の「独演会」に等しい。

 そんな中で、注目の的だった逃亡の経緯について口をつぐんだのも納得できない。「協力者を守るため」と釈明していたが、違法行為だと自覚していたことの裏返しではないか。

 日本の警察の捜査で複数の外国人が協力し、検査の甘い空港を狙って出国した経緯が徐々に明らかになっている。出国手続きや検査の厳格化といった対策も早急に検討する必要がある。

 ゴーン被告の事件で、罪を認めるまで勾留を続ける「人質司法」に海外メディアから批判が集まった。ゴーン被告の勾留は計130日にも及んだ。会見でも「1日8時間も取り調べを受け、弁護士も同席できなかった」などと繰り返した。

 だが東京地検は「1日4時間だった」と反論している。国によって司法制度は異なる。自分の国とは違うからといって「公正でない」と批判するのはいかがなものか。

 保釈条件を破り違法な手段で逃亡した事実は消えない。人質司法と今回の事件の問題は分けて論じなければならない。

 レバノンと日本は犯罪人引渡条約を結んでおらず、身柄の引き渡しは難しいとの見方がある。ただ今回の逃亡をそのまま許してしまえば日本は国際的な信用を失う恐れもある。政府には粘り強い交渉が求められる。




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