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前に進む気持ちを大切に(2020年1月12日配信『高知新聞』ー「社説」)

 「生まれ育った双葉を片時も忘れず歩んできた。町民としての誇りを忘れず、前に進んでいく」

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町はこの3日、役場機能を移している県内のいわき市で成人式を開いた。

 東日本大震災から3月で丸9年。新成人の代表が述べた冒頭の誓いの言葉には、仲間のさまざまな思いが詰まっていたのだろう。

 住み慣れた家を離れなければならなかった時のこと。親しかった友人や親戚、近所の人との別れ。見知らぬ転居先での学校生活…。

 最後の「前に進んでいく」という力強い言葉は、式の出席者だけでなく、この記事を読んだ多くの人を勇気づけたはずだ。

 あすは「成人の日」。全国で約122万人、高知県内でも6900人近くが大人の仲間入りをする。

 「前に…」という言葉に注目したのは、新成人が船出するこれからの社会がさまざまな面で厳しい状況にあるからだ。

 日本全体の人口減に歯止めがかからず、少子高齢化が進む。県人口は昨年70万人を割ってしまった。

 人口減は消費行動への影響が小さくない。それが就業者の減少を招き、商品の生産・供給が減ると、物はますます売れにくくなる。この悪循環が社会の活力を奪う。

 半世紀ほど前の社会構造は、高齢者1人を20~64歳の働き手9人ほどで支える「胴上げ型」だった。それが今から約半世紀後には1人で支える「肩車型」になるという。年金や医療保険など社会保障制度を現在のまま維持するのは難しい。

 人口の東京一極集中を鈍化させる政策にもっと国が力を入れないと、本県など地方の若者流出が続く。中山間地の集落存続や行政サービスの維持はおそらく困難になるだろう。

 この状況に不安を感じている新成人は多いはずだ。ただ、若い世代だけで不安を抱え込んでも解決しない。社会をつくってきた私たち先輩の世代の責任は重い。どうすれば前に進めるのか一緒に考えたい。

 そのためには積極的な政治参加が必要だが、若い世代の選挙の投票率は近年伸びていない。昨年の県知事選で10代投票率は県全体より20ポイント以上低かった。参院選でも20%台にとどまった。

 今の社会状況や政治の動きを見て、投票しても何も変わらない。そんなふうにあきらめているとすれば、私たちは反省しなければならない。しかし、将来の社会が投票によって大きく左右されるのも確かだ。

 政府の少子化対策や子育て支援は十分か。育児と両立できる働き方改革、待機児童問題の解消は…。若い世代こそ、そんな課題に声を上げ、投票で政治を動かしていくべきだ。

 福島県双葉町は3月上旬、町内の一部地域の避難指示が初めて解除されるという。新成人からは「地域に貢献したい」という声が出ていた。どの地域のどの世代も、「前に進む」気持ちを大切にしたい。




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