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大川小卒業生、只野さんも新成人 胸ポケットに集合写真(2020年1月12日配信『朝日新聞』)

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スーツの内ポケットに写真をしのばせて成人式に臨む只野哲也さん=2020年1月12日午後3時36分、宮城県石巻市

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成人式に臨む只野哲也さん(中列手前から2人目)=2020年1月12日午後2時26分、宮城県石巻市

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成人式に臨む只野哲也さん(右から2人目)=2020年1月12日午後2時17分、宮城県石巻市

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石巻市石巻地区の成人式出席後、父の英昭さん(奥右)らと話す只野哲也さん=2020年1月12日午後3時25分、宮城県石巻市

 宮城県石巻市で12日、成人式が開かれた。そこに、東北学院大2年生の只野哲也さん(20)の姿があった。東日本大震災の津波で児童70人が亡くなり、4人が行方不明となった同市立大川小学校の卒業生。津波にのまれながらも生き残った児童4人の中でただ一人、体験を語り続けている。

 石巻専修大の体育館で行われた成人式。色とりどりの振り袖やはかま、スーツに身を包んだ約800人の新成人が集まり、写真を撮ったり、旧友との再会を喜んだりした。

 只野さんは、今日のために新調したという紺色のスーツに赤いネクタイを着用した。震災当時は小学5年生だった「てっちゃん」。小学1年生から習っている柔道を今も続け、がっしりとした胸板が9年の歳月を感じさせる。

 胸の内ポケットには、震災前に撮った家族の集合写真と大川小の同級生の集合写真。同級生の写真は手にして式に臨もうと思ったが、喜んでくれる人もいれば悲しむ人もいるのではと考え、身につけた。

 前日、1人で大川小に行き、手を合わせた。

 「本来なら、ここで一緒に式に出るはずの友だちがいないのはさびしい。逆に、震災がなければ出会えなかった中学の友だちや先生もいる。喜びもあり悲しみもあり、複雑な思いで参加した」

 それでもこの日、只野さんを柔道に誘い、一緒に練習をしてきた大川小の同級生と再会した。一番の仲よしと会うのは約1年ぶり。肩を並べて式に参加し、「心強く安心して式に臨めた」と笑顔を見せた。

 只野さんは震災後、講演会や被災校舎前での「語り部の会」などで自身の体験を言葉にしてきた。被災校舎の存廃論議で、いち早く「保存」を訴えたのは、中学生のときだった。「出たがり」という中傷に苦しめられたこともあったが、「もう誰にも同じような思いをしてほしくない」という気持ちが突き動かした。

 一方で、「大川小は悲しいだけの場所ではない」と言う。中庭で一輪車に乗ったこと、春になると桜が咲いたこと、地域総出の運動会……。震災遺構として保存が決まった被災校舎は、そんな楽しかった思い出をよみがえらせてくれる母校でもある。

 「これからは震災の時の大川小だけでなく、震災前にみんなと一緒に過ごした楽しい思い出のある大川小も多くの人に知ってもらいたい」

 大学では機械工学を学び、週2回ほど柔道部の練習にも励む。将来は、警察官のような体を張って人のために尽くせる仕事につきたい。大川小の伝承活動も、いずれ自分たちの代がバトンを受け取っていかなければならない。そう考えている。



「みんなで一緒に参加したかった」 大川小、震災当時の5年生が成人式(2020年1月12日配信『毎日新聞』)

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成人式で黙とうする只野哲也さん(中央)=宮城県石巻市で2020年1月12日午後2時12分

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市で12日、成人式があった。児童74人が津波の犠牲になった市立大川小の当時の5年生たちも、亡き友らへの惜別と新成人としての決意を胸に、「みんなが生きていたことを伝えていく」と晴れの日を迎えた。

「大川小にみんなが生きていたことを伝えていく」

 市中心部の石巻地区の式に出席した大学2年、只野哲也さん(20)はこの日、スーツの胸ポケットに2枚の写真を忍ばせた。1枚は震災で亡くなった母と妹、祖父らとの家族写真。もう1枚は震災前、同小の同級生と納まった集合写真。「みんなで一緒に参加したかった」。式典で黙とうをささげた。

 当時の5年生15人のうち、助かったのは9人。学校にいて生き延びた5年生は、津波に流されながら裏山の斜面にたどり着いた只野さんら2人だけだった。転校などもあり、一緒に小学校を卒業したのは7人で、中学進学以降は離れ離れになった。只野さんは市の内陸部に引っ越し、同級生同士で顔を合わせるのは3月11日ぐらいだ。

 「今の自分は亡くなったみんなに見せたい姿だろうか」。震災後は「奇跡の少年」として多くのメディア取材を受け、語り部活動も続けてきた。大学では機械知能工学を学ぶが、只野さんの心には今、迷いがある。「大学の勉強も追いつくのがやっとで。みんなに合わせる顔ねえなって」

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成人式を終え記念撮影する(左から)高橋幸平さん、狩野仁英さん、木村真博さん、佐藤陸さん=宮城県石巻市の河北総合センターで2020年1月12日午後3時54分

 「亡くなったみんなが生きられなかった時間を生きている」という自覚を胸に、「大川小にみんなが生きていたことを伝えていく」と力を込めた。

「あいつら生きてたらどうしてたかな」

 大川小の地元である河北地区の成人式に出席した他の卒業生4人は、再会に笑顔を見せた。東京の大学に通う木村真博さん(20)は、所属するダンスサークルで夜更けまで汗を流した帰り、ふと亡くなった同級生らを思い出す。「あいつら生きてたらどうしてたかな」。多くの友を失う経験をしたが「『あいつらの分も』とは思わず、気負わずやっていく」と前を見据えた。

 仙台市の大学で福祉を学ぶ狩野仁英さん(20)は「彼らの分というわけじゃないが、ちゃんと生きなきゃな」と胸に誓う。

 同市の大学2年、佐藤陸さん(20)にとって、同級生たちは心の中にいて、あえて意識はしないという。「自分が行きたい道に進んで『こうなったよ』と見せられたら」

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成人式に出席した只野哲也さん=宮城県石巻市で2020年1月12日午後3時52分

 高橋幸平さん(20)はJR東日本の社員として県内で働く。「成人となり今まで以上に行動に責任が伴う」と気を引き締める。震災の記憶は胸から消えないが、「人生の中であれだけひどいことはないはずで、どんなことがあっても、何とかやっていけると思える」という。亡き友へ「元気にしている姿を見せたい」と誓った。

大川小の津波被害
 東日本大震災があった2011年3月11日、宮城県石巻市の北上川から約200メートルの大川小周辺に津波が押し寄せ、在籍していた児童108人のうち70人が死亡、4人は現在も行方不明で教職員10人も亡くなった。18年3月に閉校し、被災した旧校舎は震災遺構として保存される。児童23人の遺族が約23億円の賠償を求めた訴訟で、最高裁は昨年10月、市と県の上告を棄却する決定を出し、市と県に約14億円の賠償を命じた仙台高裁判決が確定した。






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