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成人の日(2020年1月13日配信『高知新聞』-「小社会」)

 雨粒がすぐにも落ちてきそうな曇天の中、高知市の県民体育館の周辺はきのう、新成人の歓声で華やいだ。雨を心配したのだろう。振り袖やスーツ姿の若者を乗せた車が次々と止まった。
 
 着物の裾や髪飾りを気にしながら車を降りた娘さんは、運転席に向かってぺこり。笑顔で手を振った。車から出るなり、一目散に体育館へ急ぐ青年も見かけた。仲間の手前、照れくさかったのかもしれない。
 
 「出立」のしぐさは、それぞれ違って当然だが、新成人を見送った家族は何を思っただろう。後ろ姿と、これまでの年月が重なっただろうか。長かったのか、あっという間だったか…。
 
 歌人の俵万智さんが、大学進学で東京で一人暮らしを始めた頃のことを書いている。朝、あいさつする相手がいない。季節の移ろいを話すこともない。空気のように身近だった家族がおらず、生活が〈急に息苦しくなった〉と。
 
 ピンチを救ったのは、はがきだった。〈なんてことないはがきを熱心に読んでくれるのが、家族なんです〉。授業の合間や夕食後に日々感じたままを、3日に2枚のペースで送った。むろんメールなどない時代だ。自分の思いをいつも分かってくれている。この安心感は大きかっただろう。
 
 〈母の字で書かれた我の名を載せて届いておりぬ宅急便は〉。社会人になった後の万智さんの一首。家族とつながる手段はさまざまある。成人の日おめでとう。





 
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Author:gogotamu2019
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