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新成人の君へ 社会はきっと変えられる(2020年1月13日配信『西日本新聞』-「社説」)

 香港で学生たちが激しい民主化運動を続けている。欧米の若者の間では、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)に刺激を受け、国際社会に地球温暖化対策の強化を求める活動が広がっている。

 そんな世界の若者の姿は、日本の同世代の目にどう映っているのだろう。「海外と日本は違う」という冷めた見方が案外多いのではないか。日本財団が昨秋に実施した18歳意識調査では「自分で国や社会を変えられる」と思う人はわずか2割で、諸外国より極端に少なかった。

 きょうは成人の日だ。門出をみんなで祝うとともに、新成人には大人の自覚と責任をしっかり胸に刻んでもらいたい。これから船出する日本社会という「海」は、決して波穏やかというわけではないからだ。

 今年の元日を20歳で迎えた全国の新成人は122万人で、平成に入って最初の元日だった1990年の188万人から大幅に減った。この間、高齢化率は逆に15ポイント以上も上昇し、30%が目前に迫っている。

 働き手は減るのに、支えが必要な人々は増え、医療費や年金は膨らみ続ける。少子化に歯止めをかけるには、国際比較でも手薄と指摘されている若年層の支援や子育て世代の社会保障の拡充も急がねばならない。

 子どもの貧困がなかなか解消せず、雇用に占める非正規の割合が増え続けるのも、未来に暗い影を落とす。グレタさんが温暖化をテーマに訴えるように、若年世代が将来、大きな負の影響を受ける課題は数多い。

 まずは政治にもっと多くの若者の声を届けたい。若年層の政治参加意識は依然として低い。昨年の参院選の20代投票率は全体平均を下回り、60代の半分にも届いていない。

 日本経済は低迷が長引き、「失われた20年」が「30年」に延びたとの指摘もある。社会全体が余裕を失う中、閉塞(へいそく)感を抱く若者もいるだろう。諸外国に比べ、自己肯定感が低いという国の調査結果もある。「社会を変えることはできない」という意識とも通底するものだろう。

 無論、明るい兆しもある。カネやモノという尺度から離れ、人とのつながりや精神的な豊かさに価値を見いだす風潮が芽生えている。多様性を大切にし、ボランティアなどで社会に貢献する若者も増えている。こうした変化の芽は、未来の希望だ。大きく育みたい。

 若い力で社会はより良く変えられる-そんな気概と自信を持ち、大人の一歩を踏み出してほしい。失敗や回り道を恐れることはない。新しい仲間を温かく見守り、そっと支えてくれる先輩はきっと周囲にいるはずだ。



<永遠に終わらないおとなへの出発点>(2020年1月13日配信『西日本新聞』-「春秋」)

 足に頑丈なゴムのロープを結んで高い所から飛び降りるバンジージャンプ。スリル満点のレジャーの起源は、南太平洋バヌアツの「成人の儀式」だそうだ。現地ではツタを編んだひもが命綱だったというから、おっかない。それで飛ぶ勇気がなければ、大人と認められなかったのだろう

▼世界には猛獣と戦う成人の儀式もあるとか。大人になるのも命懸けだ。日本でも昔の武士は元服前後で初陣に臨んだ。20歳になった男性は兵士になるために徴兵検査を受けさせられる時代もあった

▼きょうは成人の日。各地でお祝いの行事が開かれる。平和な時代の日本に生まれた幸せを感じつつ、大人になることの意味も考えてみたい。<どんな美しい記念の晴着も/どんな華やかなお祝いの花束も/それだけではきみをおとなにはしてくれない>

▼谷川俊太郎さんの「成人の日に」から。詩人は<成人とは人に成ること もしそうなら/私たちはみな日々成人の日を生きている>と語る

▼社会に出れば、猛獣のように人を傷つける理不尽な現実が待っていよう。それでも逃げずに、時には困難に向かってジャンプする勇気も、大人には必要だ。「人に成る」とはどういうことかを考え、行動する日々が編み込まれて強い命綱になる。綱の端を握ってくれる家族や友人がいることが幸せである

▼成人おめでとう。きょうは皆さんの<永遠に終わらないおとなへの出発点>です。





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Author:gogotamu2019
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