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「一民族」発言 麻生氏は甚だ不見識だ(2020年1月15日配信『北海道新聞』-「社説」)

 麻生太郎副総理兼財務相が国政報告会で、日本について「2千年の長きにわたって、一つの民族、一つの王朝が続いている国はここしかない」と述べた。

 昨年4月成立のアイヌ施策推進法は、アイヌ民族を法律で初めて「先住民族」と明記している。その趣旨と正反対の発言だ。

 極めて不見識である。しかも麻生氏は過去にも同様の発言をしている。政権の要職である副総理として不適格だ。安倍晋三首相の任命責任も重い。

 尊厳を傷つけられたアイヌ民族に改めて謝罪した上で、アイヌ民族の権利回復に向けた施策を推進する姿勢を明確にすべきだ。

 麻生氏は「誤解が生じているならおわびの上、訂正する」と言った。誤解の余地などない。発言を受け取る側に責任を転嫁するようでは、謝罪の意図がないと考えざるを得ない。

 麻生氏は別の国政報告会でも同じ発言をした。総務相時代の2005年にも「日本は一民族、一言語、一文化」と述べた。

 「一民族」は本心ではないかとの疑いが濃厚だ。

 北海道アイヌ協会の阿部一司副理事長も「あり得ない発言だ。しっかりと勉強しているのか疑問で情けない」と批判している。

 単一民族発言は、やはり麻生氏が首相時代の08年の中山成彬国土交通相、1986年の中曽根康弘首相らが行うなど自民党政権下で繰り返されてきた。

 先住民族の権利をないがしろにする「同化政策」を肯定し、民族の多様性を否定する発言として批判されてきたのを忘れたのか。

 4月には胆振管内白老町にアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が開業する。

 将来に向け「先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築く」ことを目的に掲げる。麻生氏の発言でその理念の実現に向けた姿勢にも疑問符がついた。

 そもそも日本は他国に比べて先住権を巡る議論が大幅に遅れ、長く棚上げにされてきた。

 十勝管内浦幌町の浦幌アイヌ協会が、国と道を相手取り、現在は法規制されている十勝川下流域でのサケの捕獲に関し、先住権に基づいて規制が適用されないことを確認する訴訟を起こすという。

 アイヌ民族による先住権の確認を求めた初の訴訟となる。

 こうした現状を理解し、アイヌ民族に関する政策の基本を政権内で再確認すべきである。



単一民族(2020年1月15日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

「皆さんは、アイヌ民族って知ってる? 北海道やその近隣地域で独自の文化を育んできた、日本の先住民族のことです。アイヌの人たちの伝統的な世界観には、私たちが学ばなくちゃいけない大切なことがいっぱいつまってるの」

▼中学3年向けのある道徳教科書の記述だ。アイヌの人にとって、神は動植物を含む自然と呼んでもいい存在で、そんな神と人は「互いに感謝し、常に相手を敬い、思いやりをもって接することで、良好な関係を保つことができる」という。多様性を大切にしていく上でも味わい深い言葉である

▼この人も教科書から学び直す方がよかろう。麻生太郎副総理兼財務相が「(日本は)一つの民族」などと発言し、「誤解が生じているならおわびの上、訂正する」と謝罪した

▼総務相時代の2005年にも同様の発言をして、同じ釈明をしている。アイヌ民族を「先住民族」と明記したアイヌ施策推進法に矛盾することは言うまでもない

▼「誤解が生じた」とは、誤解した聞き手が悪いと言わんばかりだが、「先住民族」について誤解しているのは麻生氏の方だ。独自の文化や言語を否定され、差別・抑圧を受けた人々が先住民族との認識を全く欠く

▼麻生氏に限らず、無神経な発言を繰り返す政治家にこそ人権教育が必要だ。小学校の教科書にもアイヌ民族に関する記述が増えた。このあたりから始めることをお勧めする。




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