FC2ブログ

記事一覧

伊方3号機運転認めず 甘い災害想定への司法の警鐘だ(2020年1月18日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 佐田岬半島沿岸の活断層について存在しないと主張した四国電力の調査は不十分で、主張を問題ないとした国の原子力規制委員会の判断には誤りがあると指摘した。国や電力会社の姿勢を厳しく批判した裁判所の判断を重く受け止めねばならない。

 四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを山口県の住民3人が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は運転を認めない決定をした。運転禁止の期間は、山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決言い渡しまでとした。伊方3号機の運転を禁じる司法判断は2017年の広島高裁仮処分決定以来2回目。行政の判断に追従せず、独立する司法の責務を果たした決定は評価できる。

 争点だった伊方原発がある佐田岬半島沿岸部の活断層に関して広島高裁は調査が不十分と判断した。国が中央構造線断層帯の長期評価を改訂した際の「半島沿岸は、今後の詳細な調査が求められる」との記述を取り上げ、四電の海上音波探査が不十分であることを前提にしていると認定した。さらなる調査が必要という評価は調査が尽くされていないのに等しく、判断は当然と言えよう。

 十分な調査をしないまま沿岸部の活断層は存在しないとした四電の主張について、規制委が問題ないとした判断は過程に誤りがあると断じている。活断層の存在が認められ、「震源が敷地に極めて近い」場合、地震動を評価する必要がある。調査が不十分で活断層の存否を確定できない以上、原発の運転を容認するべきではない。

 阿蘇巨大噴火のリスクでは噴火規模が過小評価されており、その想定を前提とした四電の申請や規制委の判断を不合理とした。災害想定の甘さに対する司法の警鐘と言える。住民は、巨大噴火が起きた場合の過酷な原発事故に対し不安を抱えながら暮らしている。国や事業者は災害大国の日本で原発を動かす責任の重さを改めて肝に銘じなければならない。

 現在、伊方3号機は定期検査のため停止中で、今月16日には使用済みとなったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料16体を含む全燃料の取り出しを完了している。ただ差し止め決定によりスケジュールは白紙に戻った格好だ。

 3号機には県民が厳しい視線を送っている。今月12日には核分裂反応を抑える制御棒1体を誤って引き抜くトラブルがあった。規制委が「知る限りで前例はない」と強調、委員から「事業者の深刻度や捉え方が少し軽すぎる」との意見も上がった。四電は事業者として取り組み姿勢を省み、安全運転に万全を期す責務がある。

 差し止め決定を受け政府は改めて原発の再稼働を推進していく姿勢を示した。だが国の判断の誤りに言及した決定の意味は極めて重い。重要なベースロード電源として原発に頼る国策は再考しなければならない。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ