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伊方の差し止め リスクと謙虚に向き合え(2020年1月18日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 広島高裁が、四国電力伊方原発3号機の運転を認めない仮処分を決定した。

 求めたのは50キロ圏内に住む山口県の三つの島の住民だ。地震や火山噴火で過酷事故が起きるリスクがあるのに避難計画もなく、暮らしが奪われると訴えていた。

 決定は、再稼働を認めた原子力規制委員会の判断にも疑問を突きつけている。全国で原発の再稼働を進めている国や電力各社は決定を重く受け止め、リスクと謙虚に向き合わねばならない。

 伊方原発は現在、定期検査で停止している。運転禁止は係争中の差し止め訴訟の判決までだが、再開が見通せなくなった。

 愛媛県の東西に細長い半島の付け根にある原発だ。道路が寸断されれば、半島西側の住民も陸の孤島に取り残される。

 今回に限らず、不安を感じた住民らが差し止めを求めて仮処分申請や提訴を繰り返してきた。

 地裁で運転を容認する判断が続いた中、広島高裁は2017年、約130キロ離れた阿蘇山の巨大噴火によって火砕流に襲われる危険性を指摘し、差し止めを命じる決定を出した。その後一転し、18年に決定を取り消していた。

 揺れる司法判断の分かれ目は巨大噴火への考え方だった。めったに起きない噴火のリスクは社会通念上容認される、との判断が運転容認の根拠になってきた。

 広島高裁は今回、一定規模の噴火は考慮すべきと判断。地震に関する調査も不十分と指摘した。

 福島第1原発事故を経験した日本社会は、ひとたび事故を起こせば取り返しの付かない事態に陥る危険性を学んだはずだ。

 国民の間で十分な議論もなく、なぜ社会通念上リスクを容認できると言えるのか。原発のリスクを社会はどこまで容認するのか。

 そんな問いを改めて投げかけた決定と受け止めたい。

 政府は、2030年度の電源構成に占める原発の割合を20〜22%に引き上げる計画だ。比較的安く安定して供給できる「ベースロード電源」と位置付けている。

 しかし、住民の不安は強く、司法からストップがかかる現実も踏まえると、安定した電源とは言えなくなったのは明白だ。

 自然災害や重大事故への対策強化を義務付けた新規制基準によって、安全対策費や廃炉費用も大きく膨らんでいる。

 原発のリスクは経営面からも直視せざるを得なくなっている。国や電力各社は、現実から目をそらし続けるわけにはいかない。




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