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伊方差し止め 安全への姿勢を迫った(2020年1月18日配信『京都新聞』-「社説」)

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転禁止を求めて山口県の住民が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁がきのう、運転を認めない判断を下した。

 3号機を巡っては2017年12月、同高裁が別の仮処分で運転差し止め決定を出している。

 一つの原発に司法が2度の運転差し止めの判断を示したことを、関係者は重く受けとめるべきだ。

 きのうの決定で高裁は、四国電の地震や火山に対するリスク評価や調査を「不十分」と指摘した。

 安全性に問題がないとした原子力規制委員会の判断にも誤りがあるとした。

 福島原発事故で「安全神話」は崩壊し、既存原発の再稼働に対する国民の懸念は深まったままだ。

 今回の差し止め決定は、そうした不安に正面から向き合うよう厳しく迫ったといえる。

 再稼働を優先する電力会社や政府の姿勢に厳しい注文をつけた形だ。四国電や規制委は、安全対策や審査体制を抜本的に見直さなくてはならない。

 17年12月の差し止め決定で理由の一つに挙げられたのは、阿蘇カルデラ(熊本県)が破局的な噴火をした場合に火砕流が原発を直撃する可能性だ。

 これに対して同高裁の異議審は18年9月、「大規模な破局的噴火が起きる可能性の根拠が示されていない」などとして再稼働を認める正反対の結論を出した。

 だが、きのうの決定では「阿蘇カルデラが破局的噴火に至らない程度の噴火も考慮するべき」と、改めて噴火リスクを指摘した。

 同じ原発の再稼働を判断する科学的根拠について、すれ違った司法判断が繰り返されている。

 原発を巡る環境は厳しい。伊方3号機は今年4月に営業運転に入る予定だったが、変更は避けられまい。新たなテロ対策施設を設ける期限も来年3月に迫っている。

 「世界で最も厳しい審査基準」への合格を切り札に、伊方3号機など5原発9基の再稼働を実現したが、ほとんどの原発では再稼働の見通しが立っていない。

 審査をクリアすることと、司法判断を含めた社会の受けとめには大きな開きがあるのではないか。

 四国電は今回の決定に不服申し立てをする方針で、再稼働を巡る法廷での争いは続きそうだ。

 伊方原発に関しては他の地裁でも運転差し止めの仮処分が申し立てられ、運転容認の決定が出ている。事故を繰り返させない判断が問われている。






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