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日米安保60年 追従ばかりでは危うい(2020年1月19日配信『北海道新聞』-「社説」)

 現行の日米安全保障条約の署名から、きょうで60年を迎えた。

 戦後日本は米国と経済、安保両面で協調することによって発展を遂げてきた。だがいま、安保協力の中身と、取り巻く国際情勢は、冷戦期から大きく変質している。

 その一つは、安倍晋三政権が自衛隊と米軍の一体化を加速させていることだ。

 今月には米軍との連携を事実上の目的にした自衛隊の中東派遣に、国会の熟議もなく踏み切った。

 憲法は海外での武力行使を禁じている。専守防衛を逸脱しかねない行き過ぎた対米追従は危うい。

 米国はトランプ政権の下で自国第一主義に走っている。「世界の警察官」の立場から降りようとし、同盟国には見返りを求めている。

 安保条約の趣旨は、日本が米国の言いなりになることではない。

 中国が軍事面でも台頭し、テロも多極化する中、日本が平和国家の道をどう歩み続けるのか。

 対米連携とともに、多国間の協調に軸足を置いた外交・安保に力を注ぐのが取るべき道だろう。

 今年直面するのが米軍駐留経費を巡る特別協定の改定交渉だ。

 トランプ政権が11月の大統領選を見据え、日本に一層の負担増を求めてくることは間違いない。

 本来は米側が支払うべき人件費などについて、日本側が負担する「思いやり予算」は本年度、1974億円に上る。日本の負担割合は同盟国の中で突出して高く、すでに8割を超えているとされる。

 にもかかわらず、米側は昨年夏、瀬踏みをするかのように現行の5倍の負担を求めてきたという。

 論外である。

 米軍は中国や北朝鮮、ロシアなどの脅威を見据え、在日米軍基地をアジア・太平洋地域の戦略拠点としている。

 こうした米側の利益を踏まえ、一方的な主張に対しては明確に反論すべきだ。

 日米安保によって、沖縄には国内の米軍専用施設の7割が集中する。戦後はまだ終わっていない。

 県民が反対する中、安倍政権が工事を強行する、米軍普天間飛行場の辺野古移設がその象徴だ。

 米海兵隊の輸送機オスプレイの訓練が今週から道内で実施される。沖縄の負担軽減を名目に、日本全体にその負担がじわじわ広がっていることも見過ごせない。

 米軍の特権的な法的地位を定めた日米地位協定は一度も改定されていない。

 米国に追従する前に安倍政権がなすべき懸案は山積している。



安保60年(2020年1月19日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 現行の日米安全保障条約は60年前のきょう署名された。これを機にわが国は米国の戦略にいや応なしに巻き込まれてしまう―。そんな不安が拡大し、5月には国会を包囲するデモ隊が10万人を超えた。しかし自民党は衆院での採決を強行し、条約は1カ月後に自然承認された

▼「神宮球場は野球を観戦する人でいっぱいだし、銀座通りもいつもの賑(にぎ)わいだ。国民の不安が増大しているとは思えない」。当時の岸信介首相はこう言い放ったという(宇治敏彦著「政の言葉から読み解く戦後70年」)

▼米国の日本への防衛義務と日本の米軍への基地提供義務が、この国の安全保障の軸となってから半世紀以上。この間世界は激変した。ソ連が崩壊し東西冷戦は消えた。中国が台頭し、日本の領海に侵入を繰り返している。米国はトランプ氏というこれまでない異色の大統領を選んだ。協調を嫌い、自国の利益をことさら追求する人物だ

▼秋に再選を目指す大統領はこの傾向を一段と強めかねない。すでに在日米軍の駐留経費増額を求めたとされる。武器購入圧力を高める可能性もある

▼しかもトランプ氏は「米国が攻撃されても日本は戦わない」と安保体制に不満を募らせる。その中で安倍晋三首相は中東に自衛隊を派遣した。地域の緊張が高まっているさなかにだ

▼頼みとする米国の機嫌を取るためか。戦争に巻き込まれる不安はますます膨らんでいる。




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