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[伊方差し止め] 災害想定の甘さに警鐘(2020年1月19日配信『南日本新聞』-「社説」)

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を裁判所が再び禁じた。

 地震や火山リスクについて、四国電の評価や調査を「不十分だ」と指摘。さらに再稼働審査で安全性に問題がないとした原子力規制委員会の判断も誤りがあったと断じた。

 山口県の住民が運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁が決定した。伊方3号機の運転が禁じられるのは、2017年12月の広島高裁仮処分決定以来である。国と電力会社は、司法の判断を重く受け止めなければならない。

 今回の争点は、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)や、約130キロ離れた阿蘇カルデラの噴火リスクの評価だった。

 四国電は、原発のある佐田岬半島北岸部の活断層について、海上音波調査を基に活断層は存在せず、敷地に極めて近い場合の地震動評価は必要ないとした。だが、高裁は「中央構造線が横ずれ断層の可能性は否定できない」との判断を示した。

 火山リスクでも、四国電の被害想定は過小だとし、それを前提とした申請や規制委の判断は不合理とした。原発の安全性に影響する災害想定の甘さを厳しく指弾するとともに、司法が再稼働に前のめりな政府方針に異を唱えた形である。

 注目したいのは、「破局的噴火に至らない程度の噴火も考慮すべきだ」と指摘したことだ。破局的噴火より発生確率の高い大規模噴火が起きたときに、想定以外の断層がずれる可能性を挙げ、調査を求めた。住民の不安に寄り添ったものであり、評価できる。

 今回の決定について規制委は、最新の科学的知見に基づいて「適切に審査している」と反論している。だが、安全審査に見落としや漏れがあってはならない。専門家の意見も分かれるが、一度立ち止まり、再稼働の審査過程の見直しや検証が必要だ。

 運転禁止の期間は、山口地裁岩国支部で係争中の運転差し止め訴訟の判決言い渡しまでだ。伊方3号機は定期検査のため運転停止中で、四国電は4月に運転再開する予定だったが、当面できない。

 四国電は異議申し立てをする方針を明らかにした。だが、決定に真摯(しんし)に向き合い、直ちにリスク調査を行うのが事業者の責任であろう。

 福島第1原発事故を受けて全原発がいったん停止した後、5原発9基が再稼働した。九州電力川内原発(薩摩川内市)を含め、運転差し止めなどを求めた訴訟が各地で相次ぐ。

 ひとたび原発事故が起きれば、取り返しの付かない被害が及ぶ。住民は過酷な事故の不安を抱えながら暮らしている。国や電力会社は、原発を稼働させる責任を改めて肝に銘じるべきだ。




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