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安保改定60年 日米同盟強化へ不断の努力を(2020年1月19日配信『読売新聞』-「社説」)

 ◆共同対処広げて抑止力高めよ◆

 アジア・太平洋の平和と安定を維持する上で、日米同盟の重みは増している。不断の努力で抑止力を高めるべきだ。

 岸首相とハーター米国務長官が現在の日米安全保障条約に署名してから、19日で60年を迎える。1952年に発効した旧条約は、米軍への基地提供に主眼があった。改定により、米国の日本防衛義務が明記された。

 当時は、自衛隊と米軍の協力が拡大することで「戦争に巻き込まれる」として、安保反対のデモが吹き荒れた。岸氏は、新条約の承認と引き換えに退陣した。

 ◆アジア地域安定の礎に

 条約改定が正しい選択だったことは、歴史が証明している。

 ミサイルを搭載したロシアの原子力潜水艦の活動領域は、オホーツク海に限定されている。米軍による抑止効果にほかならない。

 96年の台湾海峡危機で、米国は空母部隊を台湾近海に派遣し、中国による威嚇を封じ込めた。

 米政府が、沖縄県の尖閣諸島は対日防衛義務の対象であると明言していることは、中国へのけん制につながっていよう。

 中国軍は総兵力200万人、ロシア軍は90万人で、23万人の自衛隊を圧倒する。人員だけでは単純に比較できないが、在日米軍と太平洋に展開する米海軍が、日本の領土や海上交通路の安全に寄与しているのは明らかだ。

 冷戦終結を踏まえ、日米両国は96年、安保共同宣言をまとめた。同盟がアジア・太平洋の安定を支える礎であると、再確認した。

 民主党の鳩山政権は、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設に関して、無責任な対応を繰り返し、米国の不信を招いた。

 安倍首相が政権復帰後、集団的自衛権の限定行使を認める安全保障関連法を成立させ、同盟を立て直したことは評価されよう。

 読売新聞社と米ギャラップ社の共同世論調査では、安保条約が地域の安全に役立っていると考える人が7割に達する。

 条約の定めがあるだけでは、同盟は機能しない。米国との間で、同盟の役割と将来像について認識を共有する作業を絶えず行い、信頼を醸成していく必要がある。

 政府は、日米安保体制の重要性を国民に丁寧に説明し、日本が一定の負担と役割を担うことに理解を求めていかねばならない。

 日本を取り巻く安全保障環境は、なお不安定である。

 軍事、経済両面で台頭する中国は影響力を広げ、太平洋をはさんで米国と覇権を争う。北朝鮮は核開発を放棄せず、ミサイル能力を向上させている。

 ◆増大する新領域の脅威

 従来の陸・海・空に加え、宇宙やサイバー空間など新たな領域で脅威が増大している。同盟の抑止力を高めることが欠かせない。

 日米同盟を土台として、インドや豪州などと多面的に防衛協力を進めていくことも大切である。

 懸念されるのは、自国第一主義を掲げるトランプ米大統領の批判の矛先が、日米安保条約にも向いていることだ。日本には米国の防衛義務がないことから、「不公平な合意だ」と主張する。

 神奈川県横須賀市の米軍基地は、インド・太平洋に展開する米艦船の保守・点検機能を持つ。沖縄の米海兵隊は、日本の南西諸島にとどまらず、広範な地域の緊急事態に対処する。

 在日米軍基地を拠点に、米国が軍事的影響力を確保することで、米国の企業や国民は様々な恩恵を受けていよう。安保条約は非対称の協力関係であり、「片務的」との一方的な批判はあたらない。

 米国では、多大な犠牲を払って「世界の警察官」の役割を果たすことに懐疑的な人が増えた。内向き志向は容易には変わるまい。

 ◆駐留経費交渉粘り強く

 同盟関係を安定的に機能させるには、自衛隊の役割を広げていくことが重要だ。

 安保関連法の制定で、自衛隊は訓練時の米艦艇などの防護を担うようになった。新協定に基づく米軍への給油も行っている。自衛隊と米軍の共同対処を新領域にも広げ、様々な事態に切れ目なく対応する体制を整える必要がある。

 米国は、日本に在日米軍の駐留経費の負担増を要求しており、難しい交渉が予想される。米政府を通じて最新鋭の装備を購入する仕組みについては、透明性の確保と価格の適正化が求められよう。

 米国は中露に対抗し、日本を含むアジアへの中距離ミサイルの配備を検討している。

 政府は、自らの立場や実情を粘り強く米国に説明し、懸案の解決を目指さなければならない。




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Author:gogotamu2019
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