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農業こそが平和の礎(2020年1月23日配信『南日本新聞』-「社南風録)

 ストームトルーパーは映画「スター・ウォーズ」シリーズに出てくる戦闘員である。白い装甲服を身に着け、次々に現れては倒される。ヘルメットで顔が見えないため、人間らしさを感じさせない。

 そんなキャラクターの中から、ひと味違った役回りが登場した。幼い頃に誘拐され戦闘員になったが、残虐行為を強いられることに悩んで脱走し、敵の仲間になる。そんな素顔が描かれ、作品に深みが加わった。

 映画ではものごとを分かりやすく単純に切り分けがちだが、人と人との関係はもっと複雑だ。たとえ、支援の手を差し伸べても、受け入れてもらえないことも少なくないらしい。

 故中村哲さんの著書「アフガニスタンの診療所から」を読むと、現地の事情がうかがえる。旧ソ連軍撤退後に各国の援助団体がアフガンに入ったが、無神経な態度が摩擦を生むこともあった。「自国で喝采を浴びた外国人が、地元でひんしゅくを買う事態も多い」と戒めている。

 後に中村さんは農業こそが平和の礎と、砂漠に用水路を引き緑をもたらす事業に力を注いだ。現地代表を務めたペシャワール会報には改修中の用水路について「この希望を守り育てる」と記している。

 殺害されて1カ月半余り。「あの獰猛(どうもう)で勇敢なゲリラたちが笑顔で農作業にいそしむ姿は感銘さえ与える」。アフガンの人々に愛された中村さんの言葉が改めて心に染みる。



キャプチャ

内容紹介
【緊急復刊】追悼 中村哲さん

幾度も戦乱の地となり、貧困、内乱、難民、人口・環境問題、宗教対立等に悩むアフガニスタンとパキスタンで、ハンセン病治療に全力を尽くす中村医師。氏と支援団体による現地に根ざした実践から、真の国際協力のあり方が見えてくる。テロをなくすために。戦乱の地での医師の実践。
解説=阿部謹也 「アフガニスタンと日本」

今、内外を見渡すと、信ずべき既成の「正義」や「進歩」に対する信頼が失われ、出口のない閉塞感や絶望に覆われているように思える。十年前、漠然と予感していた「世界的破局の始まり」が現実のものとして感ぜられ、一つの時代の終焉の時を、私たちは生きているように思えてならない。
強調したかったのは、人が人である限り、失ってはならぬものを守る限り、破局を恐れて「不安の運動」に惑わされる必要はないということである。人が守らねばならぬものは、そう多くはない。そして、人間の希望は観念の中で捏造できるものではない。本書が少しでもこの事実を伝えうるなら、幸いである。
(「文庫版あとがき」より)

「本書によって私たちはアフガニスタンの状況だけでなく、私たち自身の姿を見ることが出来るだろう。」――阿部謹也 (「解説」より)

【目次】
帰郷―カイバル峠にて
縁―アフガニスタンとのかかわり
アフガニスタン―闘争の歴史と風土
人びととともに―らい病棟の改善と患者たちとのふれあい
戦乱の中で―「アフガニスタン計画」の発足
希望を求めて―アフガニスタン国内活動へ
平和を力へ―ダラエ・ヌール診療所
支援の輪の静かな拡大―協力者たちの苦闘
そして日本は…

出版社からのコメント
本書の著者で、アフガニスタンで長年、農業用水路の建設など復興に携わってきた医師の中村哲さんが2019年12月4日、東部ナンガルハル州を車で移動中に何者かに銃撃され、お亡くなりになりました。心から御冥福をお祈りし、その志を、続く人々に残すためにも、心をこめて復刊させていただきます。

内容(「BOOK」データベースより)
幾度も戦乱の地となり、貧困、内乱、難民、人口・環境問題、宗教対立等に悩むアフガニスタンとパキスタンで、ハンセン病治療に全力を尽くす中村医師。氏と支援団体による現地に根ざした実践から、真の国際協力のあり方が見えてくる。

著者について
中村 哲(なかむら・てつ)
1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒。PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長。1984年パキスタンのペシャワールに赴任、現在に至るまでハンセン病を柱に貧困層の診療に当たる。2000年からは大旱魃に対して、井戸1300本を掘ると共に大規模な灌漑用水路も建設中。著書に『医者井戸を掘る』『医は国境を越えて』『辺境で診る辺境から見る』(石風社)等がある。2019年12月4日逝去。




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Author:gogotamu2019
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