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伊方再差し止め 指摘を真摯に受け止めよ(2020年1月25日配信『新潟日報』-「社説」)

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県)に対し、高裁が示した2度目の運転差し止め決定である。原発に対する国民の不安に沿い、再稼働ありきの流れに異を唱えたともいえる。

 原発再稼働を進める国や電力会社は、指摘を真摯(しんし)に受け止めなければならない。

 伊方3号機の運転禁止を求め、50キロ圏内に住む山口県の住民が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が運転を認めない決定をした。

 主な争点は、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)や、約130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの火山リスクに関する四国電や原子力規制委員会の評価の妥当性だった。

 四国電は付近に活断層はないとしていたが、高裁の仮処分決定は「敷地2キロ以内にある中央構造線が横ずれ断層の可能性は否定できない」とし、調査は不十分だとした。

 阿蘇カルデラの火山噴火リスクについても、火山灰の量など被害の影響の想定が過小だと指摘した。

 伊方3号機は定期検査のため停止中で、4月27日に営業運転に入る計画だったが、運転再開は当面できない状態となった。

 四国電は「到底承服できない」とし、不服を申し立てる意向を表明した。

 だが、決定に即座に反発するような態度は疑問である。

 森一岳裁判長は「福島原発事故のような事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要」と述べた。

 多くの人々の日常生活を断ち切った東京電力福島第1原発事故を省みれば、徹底的な安全を求めるのは当然だ。

 原発の専門家でない司法の判断に共感を覚える立地地域の住民や国民も少なくないはずだ。

 注目したいのは、再稼働審査で伊方3号機を合格させた規制委に対する厳しい指摘だ。

 「規制委の判断には、過誤ないし欠落があった」「過小な想定を前提とした規制委の判断も不合理」などと断じた。

 福島事故を受け原発の安全審査は厳格化され、政府や電力会社は「世界で最も厳しい」と強調するが、それに疑問を突き付けた格好である。

 規制委側は審査過程をきちんと検証すべきだ。

 伊方3号機の運転を禁じる高裁判断はこれで2回目だ。

 1回目は2017年12月に同じ広島高裁が下した。阿蘇の破局的噴火で火砕流が到達する可能性に言及し、「立地には適さない」とした。

 再稼働への疑問や不安が根強いことの反映だろう。

 忘れてならないのは、経済性より何よりも、人の命や健康に関わる安全が優先されなければならないということだ。

 福島事故から間もなく9年になる。今なお多くの人々が故郷に帰れず、避難生活を余儀なくされている。

 甚大な被害をもたらした事故の教訓を風化させず、私たち一人一人が原発再稼働の是非を考え続けなければならない。




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Author:gogotamu2019
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