FC2ブログ

記事一覧

[養育費見直し] 不払い許さぬ仕組みを(2020年1月26日配信『南日本新聞』-「社説」)

 離婚後に支払う子どもの養育費算定表が昨年末、16年ぶりに見直された。

 現行の算定表に基づく養育費は低額すぎて、ひとり親世帯の貧困の一因と指摘されていた。社会情勢や税制を反映させて、全体に底上げした。

 一方で、養育費の不払いが問題になっている。養育費を当事者任せにせず、公的な関与を強めるなど一歩踏み込んだ支援を検討していくべきだ。

 算定表は夫婦の年収や子どもの人数、年齢に応じて養育費の目安を一覧にしている。公平、迅速に確定しやすく、家裁の調停などで使われている。

 現行の算定表は2003年に現役裁判官有志の研究会が公表して以来、税率などのデータは更新されないままだった。このため「生活実態に合っていない」など批判が絶えず、最高裁の司法研修所が改定版の研究を実務を担う裁判官4人に委嘱していた。

 今回の改定で、年収によって月1万~2万円程度の増額となる。夫が年収450万円、妻が200万円の会社員で10歳の子ども1人を妻が引き取った場合、現行の月2万~4万円から4万~6万円になる。高収入では最大6万円増えるケースもあるという。

 しかし、厚生労働省の16年度調査によると、母子世帯で養育費を「現在も受けている」は24.3%にとどまり、「受けたことがない」が56.0%を占めた。離婚の際に養育費の取り決めをしても守られていないことや、取り決めさえしていないことも多い。

 ひとり親世帯の支援を行う鹿児島県母子寡婦福祉連合会には「養育費を取り決めた通り払ってくれない」「取り決めをしなかったが養育費をもらえるか」などの相談が寄せられている。取り決めのやり方も口頭や私的文書が多く、法的手続きが取れない場合がほとんどという。同会では公正証書や調停調書などでの取り決めを勧めている。

 ひとり親家庭の半数以上が貧困に苦しんでいる。特に母子家庭では平均年間収入が200万円程度で、厳しい生活を強いられている。

 今春、改正民事執行法が施行され、法的手続きを取れば、養育費を支払わない相手の預貯金などの情報を得られるようになる。しかしその後の取り立ては当事者が行うことになり、時間的にも金銭的にも余裕がないひとり親世帯にとって容易ではない。

 欧米では行政が養育費を支払わない人の給与から天引きしたり、銀行口座を差し押さえたりしている。国内でも兵庫県明石市が養育費の立て替え払い制度の導入を検討するなど、公的関与を強化する動きが出ている。

 養育費は子どもの生活を支えるだけでなく、離れて暮らす親との絆であり、生きる希望につながる。子どもの利益を最優先に知恵を出し合い、養育費が確実に届く仕組み作りを急ぎたい。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ