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子供の死因究明 事故の再発防止に生かしたい(2020年1月27日配信『読売新聞』-「社説」)

 不慮の事故や虐待などで、多くの子供が命を落としている。経緯や原因をきちんと究明し、再発を防がねばならない。

 厚生労働省が、18歳未満の子供の全死亡事例を収集し、検証する「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」を導入する。4月から五つの自治体でモデル事業を試行し、2022年度から全国に広げる方針だ。

 都道府県や医師会が管内の医療機関などから情報を提供してもらい、有識者による検証委員会で分析することを想定している。

 18年に亡くなった18歳未満の子供は約3800人だった。病死が多いが、中には死に至る経緯がはっきりしないケースも含まれている。死亡例を検証し、見落とされた虐待や事故の発見につなげる意義は大きいと言えよう。

 CDRでは、子供が関わった様々な機関から情報を集める。遺体の状況に問題がなくても、かかりつけ医のカルテから育児放棄が明らかになったり、保健所の記録で健診時にあざがあったりすれば、虐待死が疑われる。

 こうした事態をなぜ、事前に防げなかったのか。検証委は関係者の責任追及よりも、再発防止の観点に重きを置いて、解明を進めることが重要である。

 子供の死に関わる情報は、極めて高度なプライバシーだ。自治体には厳重な管理が求められる。

 大切なのは、検証結果を具体的な対策に生かしていくことだ。

 CDRが既に導入されている米国の州では、新生児が親の添い寝中に窒息死する事例が多数確認された。これを受けて、州が注意を喚起する啓発活動を行った。

 日本のCDRでも、例えば子供の水難事故が多発する地域の用水路や河川が特定されれば、自治体が柵を設置するなどの防止策を講じることが可能になるだろう。

 子供の死亡事案の情報は従来、各省庁が担当分野ごとに集約し、対応策を取ってきた。虐待や保育施設の事故は厚労省と内閣府、学校の事故やいじめ自殺は文部科学省、製品や食品に関連する事故は消費者庁と分かれている。

 だが、子供の事故には共通点も多い。乳幼児の水の事故は、保育施設だけでなく、家庭の風呂場や家庭用プールでも起きる。豆やビー玉をのどに詰まらせる事故も、あらゆる場所で発生している。

 関係省庁が情報を共有し、連携することが欠かせない。今後、CDRで新たに得られる検証結果を国レベルで分析し、予防策の充実を図るべきではないか。




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Author:gogotamu2019
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