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光圀の逸話(2020年1月27日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 黄門さまこと徳川光圀にまつわる逸話だという。領地内で、無学な男が親を殺した。たちまち捕らえられて「死罪」を言い渡されたが男は奉行に食ってかかった。「おらの親を殺すのはおらの勝手だろう」。

 話を聞いた光圀は奉行に刑の執行を待つように言い、儒学者を呼んで無学な男に牢(ろう)内で学問を教えるように命じた。1年後には男は特別な書物でなければ読めるようになり、2年が過ぎた頃には儒学者の門弟と差がなくなった(笹沢左保著「ことわざ捕物帖」)。

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者ら45人が殺傷された事件の裁判員裁判(被告人質問)で殺人罪などに問われた元職員の男、植松聖被告が「(自分には)責任能力はある」と述べた上で「心神喪失状態だった」とする弁護側の主張に異議を唱えた。

 質問するのは被告を守る弁護人である。そんなやりとりを裁判員たちに見せることで異常性を印象付ける狙いがあるのでは、と思ったが「意思疎通を取れない人間は安楽死させるべきだ。名前、年齢、住所を言えない人間。そこが最低のライン」などとの自論を聞いて、あらためて背筋が寒くなった。

 3年が経過した時、知性を身につけた男は奉行に申し出た。「おかげを持ちまして心底、おのれの罪の重きを知りましてございます。何とぞ、お仕置きを」。光圀もこれを許し、死刑は執行された。まっとうな心のかけらさえ持っていないのか。植松被告よ。




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