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国の就労支援、10年早ければ… 氷河期世代の無念 音大卒42歳、今度こそ(2020年2月1日配信『東京新聞』)

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厚生労働省の中途採用試験に向けて勉強する派遣社員の女性=東京都内で(一部画像処理)

 バブル崩壊後の就職難で不安定な仕事を選ばざるを得なかった「就職氷河期世代」。政府はこの世代の正規雇用を、四月から三年間で官民合わせ30万人増やす計画だ。先行して厚生労働省が2日から、氷河期世代を対象にした中途採用試験を実施する。だが、当事者はすでに中高年に差しかかり、安定した職に就けないまま年金、医療など将来に不安も抱える。国の支援にも、「なぜもっと早く手が打てなかったのか」と不満の声も上がる。

 厚労省の試験には10人の枠に1934人の応募が集まった。筆記試験と面接をパスし採用されれば、5月から東京・霞が関の本省の正規職員として政策立案などに携わる。都内の派遣社員の女性(42)も応募者の1人。「年齢的に安定した職に就けるラストチャンスかもしれない」と挑戦を決めた。

 女性は2003年3月、都内の音楽大を卒業した。この年、大卒の求人倍率は1倍を切った。第1志望の楽器販売会社の求人はほぼゼロ。金融など職種を広げ就職活動をしたが「パソコンを使えない音大生はいらない」と門前払いされた。30社ほどに応募できたものの内定は得られず、卒業後、派遣社員としてコールセンターで働いた。

 「資格を取れば正社員への道が開けるはず」と、簿記3級なども取ったが、企業が不況で正規採用を抑制する中、就けたのは非正規の仕事だけだった。母親からは「正社員になれないのは努力が足りないから」と責められ、30歳でうつ病を発症。収入などを考慮し、その前の年に結婚した会社員の夫(49)と話し合い、子どもはあきらめた。

 うつ病の療養が終わり、現在は都内で派遣社員として経理の仕事をする。フルタイムで働くが、月給換算で手取り20万円を切る。ずっと非正規のままで、年齢に連れ正規の求人そのものも減ってきた。

 それだけに国の支援はありがたいが、「子どもを持つなど人生をやり直すにはもう若くはない。せめて、あと十年早ければ」との思いはぬぐえないでいる。

◆100万人 非正規や引きこもり

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 国が支援する「就職氷河期世代」は、1993~2004年に高校や大学を卒業し、就職活動を行った世代を指す。現在30代半ば~40代後半を迎える。

 バブル後、企業は人件費を抑えるため新卒採用を控え、正社員を契約社員や派遣社員に置き換えるようになった。政府も労働者派遣法の改正(04年)などで規制緩和を進め、非正社員化の流れを後押しした。

 今回の支援策で政府は3年で約650億円を投じ、企業助成金の拡充やハローワークの専用窓口設置などを行う。この世代の人たちの収入や生活を安定させ、膨らむ一方の社会保障支出を抑える狙いもある。ただ、やむを得ず非正規で働く人や、引きこもり状態の氷河期世代は100万人程度いるとされる。

 働き方評論家で千葉商科大専任講師(労働社会学)の常見陽平さんは「氷河期世代にも老後の不安が迫る中、国が大々的に支援することは評価できるが、一過性に終わらせてはならない」と話す。

 常見さんは「この世代の就職難は、雇用の流動化など経済界や政治にも責任があるのに自己責任で片付けられてきた」と指摘。「国は本人の特性などを見極めて、きめ細かな支援を徹底すべきだ。人手不足の業界の穴埋めに使うことがあってはならない」としている。




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