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呼吸器外し再審 時間がかかり過ぎる救済(2020年2月4日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 滋賀県の病院で2003年に起きた「呼吸器外し事件」の再審公判が始まった。

 検察側は冒頭陳述で新たな立証はしないと明言した。殺人罪で懲役12年が確定、服役した元看護助手の西山美香さんは、無罪が確実となった。

 大阪高裁の再審決定から最高裁の確定まで約1年3カ月、さらに開始まで10カ月以上かかった。

 再審による人権救済を速やかに図る上で、あまりに時間がかかり過ぎている。制度のあり方を見直すべきではないか。

 西山さんは、滋賀県警の任意聴取で「(男性患者の)呼吸器を外した」と自白し、逮捕、起訴された。公判で否認に転じ最高裁まで争ったが、実刑が確定した。

 第2次再審請求審で、大阪高裁は、新証拠の医師の意見書などを基に不整脈による自然死の可能性や、虚偽の自白の疑いを指摘し、再審開始を決定した。

 検察が特別抗告し、開始は大きく遅れた。本来ならすぐに裁判をやり直すべきだ。再審決定に対し不服申し立てを認める制度に問題はないか、検討する必要がある。

 再審確定後の協議では、当初争う姿勢を示していた検察が、一転して新証拠による有罪立証をしない方針を明らかにした。

 他殺を否定する捜査段階の報告書などが、協議中の昨年7月になり初めて県警から検察に渡されたことも発覚している。

 にもかかわらず、検察は初公判で、求刑放棄や無罪論告をするか明確にしなかった。

 再審開始を遅らせ、無罪を積極的に認めようとしない姿勢は厳しく問われなければならない。

 再審では、患者の死因や西山さんの自白の信用性を大津地裁がどう判断するかが焦点になる。

 地裁は、弁護側が新たに請求した「患者がたん詰まりで死亡した可能性がある」とする医師の所見記載の捜査報告書など約100点を証拠採用した。

 自白は、担当した警察官らに好意を抱き、誘導に迎合した虚偽の可能性が大きい。

 取り調べの実態や、他殺を否定する証拠がなぜ捜査段階で地検に提出されなかったのかといった点も法廷で解明すべきだろう。

 ただ、自白調書を作成した警察官らの証人尋問は予定されておらず、10日に結審、3月31日に判決となる見通しだ。

 自白偏重の捜査手法は冤罪(えんざい)を生むと長く指摘されてきた。過ちを再び起こさないためには、事件の検証が欠かせない。




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