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高齢者の雇用 働く意欲生かせるのか(2020年2月6日配信『東京新聞』-「社説」)

 70歳までの就業機会を確保するための雇用関連法案が閣議決定された。国会で論戦が始まる。法案は複数の働き方を示し、導入を企業に求めている。選択肢の拡大は歓迎するが、実効性が問われる。

 高齢者就労の拡大策は、政権が目指す「全世代型社会保障」実現への目玉だ。

 だが、社会保障改革と言いながら、年金、医療、介護などの制度について、税も含めた負担と給付とのバランスをどう実現し制度を強化するのかという重要な視点が欠けている。

 働ける高齢者には就労で自助を促し制度の支え手になってもらうことで、制度の改革論議から逃げているように見える。

 とはいえ、65歳以上で働く人は、2018年で875万人いる。10年から約300万人増えた。

 60歳以上を対象に実施した内閣府調査では66%が65歳以降も働きたいと考えている。高齢期就労の環境整備は不可欠だろう。

 現行の高齢者就労は(1)65歳までの定年引き上げ(2)65歳までの継続雇用制度の導入(3)定年の廃止-のいずれかの制度導入を企業に義務付けている。

 法案では、(1)(2)を70歳まで引き上げる選択肢に加え、起業やフリーランスを希望する人への業務委託制度や、勤務先が出資するNPOなどで働ける制度なども設け、いずれかの導入を努力義務で求めるものだ。

 高齢になれば健康問題も抱える。働く意欲や能力に個人差がでやすい。企業側の負担を考慮した選択肢といえるが、働く側に不利益があってはならない。

 業務委託は個人事業主として元の勤め先と契約を結ぶことになる。個人事業主は立場が弱く、不利な契約を迫られる心配がある。NPOへの就労も形だけの紹介や、働き続けられない環境では就労拡大につながらないだろう。

 60歳以降の希望する働き方は短時間勤務が多い。定年を延長するにしても企業には体力面への配慮など希望に沿った働き方をどう切り出すのかも問われる。労使で十分な議論を期待したい。

 高齢者の就労拡大は短期間ではできない。60歳定年が努力義務化されたのは1986年、義務化は九四年だ。2000年には65歳までの継続雇用の努力義務が課され、04年に義務化された。

 政府も企業の取り組みが少しでも進むよう助成制度などで後押しすべきだ。




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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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