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「カムイチェプ」(2020年2月7日配信『熊本日日新聞』-「新生面」)

 先ごろ直木賞に選ばれた川越宗一さんの「熱源」は明治初期、北海道に移住した樺太(サハリン)出身のアイヌ民族の主人公が近代化を進める日本から同化を強いられ、それに抗[あらが]う姿などを描いている

▼昨年「アイヌ新法」(通称)が施行され、4月には国立アイヌ民族博物館が北海道白老町に開館する。札幌市で始まった雪まつりでもアイヌ民族ゆかりの雪像がお目見え。「熱源」の受賞は、最近のアイヌ文化に対する関心の高まりを象徴するようでもある

▼それでも、まだ埋められない溝があるのだろう。道内のアイヌ協会が、サケの捕獲は先住民族が持つ権利だとして、法や規則が適用されないことを国などに確認する訴訟を、今春にも起こす方針だという

▼アイヌ民族にとってサケは「神の魚」を意味する「カムイチェプ」などと呼ぶ重要な食糧。ところが彼らのそうした文化は受け入れられずにきた。裁判では先住民族に認められる「先住権」のとらえ方が争点となりそうだ

▼「熱源」は北海道の北に位置する樺太が主舞台。1855年の日露和親条約で国境を定めない混住の地とされ、その際に千島列島の択捉島以南を日本領とした。その後千島と樺太が交換され、先の大戦を経て国境線は不明瞭に。アイヌを含む島民はこの間、国境を巡る歴史の荒波に翻弄[ほんろう]されてきた

▼きょうは条約の調印日にちなんだ「北方領土の日」。領土問題解決の糸口は依然見えないが、アイヌ民族が活躍した北の大地に希望の春が訪れるよう気持ちを新たにしたい。



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内容紹介
樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。

樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、
国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、
読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。

内容(「BOOK」データベースより)
故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。

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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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