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米軍関係の刑法犯 低い起訴率 識者「日本が裁判権放棄した密約生きている」(2020年2月10日配信『沖縄タイムス』)

[骨抜きの主権国家 日米地位協定60年](9)

キャプチャ

 NGOの日本平和委員会が発行する平和新聞編集長を務める布施祐仁さん(43)=東京都=は、国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率を調べて公表する活動を2008年から続けている。

 米軍人軍属の犯罪などをまとめた法務省の「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」によると、01年から18年までの米軍関係者の一般刑法犯(刑法犯全体から交通関係の過失運転致死傷罪などを除いたもの)の起訴率は13・17%だった。

 これは同時期の全国の起訴率43・85%と比べると3割程度にとどまる。布施さんは「密約が今も生きている証拠だ」と指摘する。

 「密約」とは1953年の日米合同委員会裁判権小委員会で、日本側代表が「実質的に重要と考えられる事件以外については、第1次裁判権を行使する意図を通常有しない」と述べ、裁判権を放棄したとされることを指す。2008年に歴史研究家の新原昭治氏が米国立公文書館で同委の議事録を発見し、明らかになった。日本政府は「双方の合意はなかった」と密約ではなく、日本側の姿勢を一方的に伝えただけとしている。

 布施さんはこの「密約」発見をきっかけに、「密約は過去のものにすぎないのか、今でも有効なのか。それを裏付ける実態を知りたい」と米軍関係者の起訴率を調べ始めた。

 だが、当初入手できたのは、07年の資料だけだった。開示請求した法務省の資料の保存期間が1年間で、それ以前のものは全て破棄されていたからだ。保存期間が1年の理由を尋ねると「重要性が低いから」と説明されたという。

 布施さんは「日本の市民が被害に遭う事件事故が起こったとき、国としてどのように裁いてきたのかという主権に関わる統計。それをたった1年で廃棄するのは不自然だ」と不信感を募らせる。

 また、米兵による事件の被害者などとやりとりをする中で、日本の警察の消極的な捜査姿勢にも疑問を持つようになった。米軍事件についての警察の対応マニュアルを調べると、通常の事件とは対応が全く違った。身柄の取り方などについても細かく規定され「現場の警官で全て理解できている人はいないのでは」と感じるほどだった。

 布施さんは米軍関係の事件の捜査には、身柄の引き渡しや捜査期限など、さまざまな制約があり、そうした捜査の煩雑さから「大きな事件でなければ事件化せず、不起訴にすることがルーティンになっている可能性がある」と分析する。

 起訴率を調べ、根気よく法務省とやりとりを続けた結果、01年から06年までの資料も見つかった。しかしそれ以前のものはいまだに見つからず、実態は分からないままだ。「うやむやにされた事件もたくさんあっただろう。国が密約を認め撤回するまでは、追及を続けていく」と話した。



米軍犯罪8割超不問(2017年6月1日配信『しんぶん赤旗」)

昨年 刑法犯起訴率16・9%

 昨年、日本国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率が16・9%にとどまっていることが、日本平和委員会が情報公開請求で入手した法務省資料で明らかになりました。全国での一般刑法犯の起訴率(2015年)39・1%と比較して半分以下です。

 法務省が開示したのは、全国の地検と高検が作成した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」の16年分。それによれば、米軍関係者による一般刑法犯は起訴14件に対して不起訴は69件に達しています。

 さらに、自動車による過失致死傷は起訴17件に対して不起訴が161件です。

 また、2001年から16年までの米軍関係者による一般刑法犯の起訴率は17・6%で、おおむねね8割以上が不起訴になっている実態が常態化しています。

 こうした低い起訴率の背景には、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定があります。協定17条では、「公務中」の場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本側に身柄を引き渡されない限り、起訴できません。

 一方、「公務外」の場合は日本側に第1次裁判権がありますが、1953年10月28日に日米合同委員会で結ばれた密約で、日本は米国に対し、特に重要と考えられる事件以外は裁判権を行使するつもりがないと約束しました。

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