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<環境視点>衣料を素材に戻し再利用(2020年2月14日配信『東京新聞』)

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着古したセーターの品質表示を切り取り、分別するサンリードの従業員=愛知県一宮市で

 廃棄する衣服を素材に戻し、衣服の原料として再利用する取り組みがアパレル業界で広がっている。流行や季節に応じ、国内では毎年100万トン近い衣料品が廃棄されており、温暖化防止の観点からも再利用を促す機運は高い。自然由来のウールやダウンだけでなく、化学繊維にも拡大しており、店頭で自社の古着を回収する企業も増えている。 

◆ウール、化繊も

 コートにセーター、ニット帽、耳当て…。生活雑貨店「無印良品」のサイトには、さまざまな再生ウールを使った商品が並ぶ。

 今季の秋冬ものは十数点を展開。再生ウールは独特の優しい風合いが人気で、婦人用のダッフルコートは同じデザイン、価格の新ウール製品より再生ウールの方が売れたという。

 無印良品を展開する良品計画(東京都豊島区)は「素材を無駄にしない」「循環する商品を作る」ことなどを掲げ、再生ウールをまぜた服や雑貨を2016年から販売。再生ウールは店頭回収した自社製品や、全国のウール工場から出た端材などを活用する。

 再生ウールを生産するサンリード(愛知県一宮市)の倉庫には古いセーターなどのウール製品が山積みに。社員がボタンやタグを切り取り、色ごとに分ける。

 日本最大の毛織物産地「尾州」の中心地で半世紀以上続く老舗。環境意識の高まりを受け、ここ数年、アパレル関係の企業から問い合わせが相次ぐ。視察もひっきりなしといい、南正明社長(61)は「エコという言葉が業界で飛び交っている」と話す。

 リサイクルは他の素材でも。ユニクロは昨年9月から、国内の全店舗で着古した自社のダウン商品を回収。洗浄した再生ダウンを使った新製品を来季の秋冬から販売する予定だ。伊藤忠商事は昨春、古着などを原料にした再生ポリエステル生地の販売を開始。複数のアパレル会社が採用し、使用した衣料品がこの春夏から店頭に並ぶ。

◆7割が焼却など

 業界が素材の再利用を急ぐ背景には環境負荷の大きさがある。国連などによると、衣料品の生産量は流行を採り入れ低価格の「ファストファッション」の拡大で、14年までの15年で倍増。流行が変わりやすく、新品のまま焼却処分されるものも少なくない。

 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が10年にまとめた報告書などによると、国内で1年間に廃棄される衣料品は約94万トン。30億着に相当し1人あたり毎年20着以上を捨てている計算だ。このうち古着店などで再販されたり、リサイクルされるのは2割強の25万トン。7割は焼却や埋め立て処分されている。

 温暖化防止が叫ばれる中、18年には国連気候変動枠組み条約事務局の主導で、業界団体が「ファッション業界気候行動憲章」を発表。世界の温室効果ガスの約8%は衣類や履物の生産で発生しているとされ、30年までに、15年比で3割削減すると打ち出した。

 アディダスやバーバリーなど、世界の大手ブランドが署名。1月には、ユニクロやジーユーを手掛けるファーストリテイリング(山口市)も加わった。

 環境問題を扱う専門誌「環境ビジネス」編集長で、学校法人先端教育機構「SDGs総研」(東京都港区)主任研究員の白田範史さん(39)は「憲章で業界全体が環境配慮を求められている」と指摘。消費者にも「エコ」は付加価値として高まっているとしながらも、購入の決め手にはなっていないといい「再生品というだけでなく、質やデザインも含めていかに良い商品を生み出せるかが普及のかぎ」と話す。

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売り場近くに置かれた不要衣料の回収ボックス=名古屋市中村区のユニクロ名古屋店で




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