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養育費不払いにNO ひとり親、自治体の支援広がる(2020年2月16日配信『日本経済新聞』)

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離婚届とともに養育費の取り決めに関する合意書などを配る(兵庫県明石市の市民相談室)

ひとり親家庭の貧困が問題視されている。要因のひとつが養育費の不払いだ。養育費受け取りを支援する自治体の動きが広がり、国も取り組む姿勢を見せ始めた。求められているのはお金の取り立てにとどまらないきめ細かい支援だ。

■養育費受け取った母子家庭、わずか24%

「自分が頑張って働いた方が早い」。東京都内で3歳の子供を育てる非正規社員の女性(28)はこう割り切る。元夫から月約2万円の養育費が支払われるはずが、定期的に振り込まれない。最近交際相手ができた元夫は支払いがさらに滞りがち。連絡を取りたくないが、自分の収入だけでは先行きが不安だ。

ひとり親家庭の貧困は深刻だ。国の調査(2015年)によると、大人が2人以上いる子育て世帯の貧困率は11%だが、ひとりだと51%に跳ね上がる。ひとり親の9割近くは女性。非正規で働くケースが多く、貧困に陥りやすい。

養育費の不払いが追い打ちをかける。厚生労働省の調査(16年度)では、養育費を受け取っている母子世帯は24%にすぎない。「関わりたくない」「支払い能力がない」などの理由が壁となり、支払いを取り決めた母は43%にとどまる。

「弁護士に相談すればよかった」。都内で小学生2人を育てる女性(35)は養育費を取り決めないまま約10年前に離婚。「外食や旅行などほかの家で普通のことができない」と悔しがるが「当時は一刻も早く別れたくて、考える余裕もなかった」と振り返る。

■離婚時に養育費の取り決めが必要

泣き寝入りを防ごうと、全国に先駆けて動いたのが兵庫県明石市だ。養育費などの取り決めの合意書や手引を、14年から離婚届と一緒に配っている。今では法務省が同様の書類を全国で配るようになった。

18年度には保証会社に業務委託して、養育費立て替えのモデル事業を開始。公正証書などで養育費を決めたのに受け取っていない家庭に対し、保証会社が立て替え相手から回収する。市は保証料を肩代わりする。

これまで立て替えは7件。支払いが止まると担当者が電話をかける。すると支払いが復活する例があり「不払いを防ぐ効果もある」(市民相談室)。

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泉房穂市長は「養育費を払わないのが当然の社会を変えたい」と記者会見で説明した。19年には大阪市も保証料の補助事業を開始。20年度には東京都や港区、豊島区も補助を検討。明石市は市が独自に立て替える制度も議論している。4月施行の改正民事執行法も追い風だ。裁判所を通じて相手の口座や勤務先情報が得られるようになり、強制執行を申し立てやすくなる。

ただこうした仕組みで救われるのは公正証書などで養育費を取り決めた家庭だけ。現状では決めないで離婚した半数以上の家庭がこぼれ落ちてしまう。母子家庭支援のNPO法人リトルワンズ(東京・杉並)の小山訓久代表理事は「米国では養育費などを取り決めないと離婚が認められないことが多い」と指摘。「第三者を交えて話し合う離婚前相談が必要」と話す。

国会では安倍晋三首相が「諸外国の法制度を研究するとともに、地方自治体の先駆的な取り組みの把握を通じて検討する」と答弁。森雅子法相が勉強会を開くなど関心が高まってきた。

早稲田大の棚村政行教授は「本来なら国が先に進めなければならない課題」と強調する。子供の立場を尊重し、確実に支払いがされるよう、総合的な支援が必要だ。

■日本は養育費不払いを放置 米国では給与から天引き

 早稲田大の棚村教授は「日本は先進国で養育費不払いが最も放置されてきた国」と解説する。スウェーデンは国が不払い養育費を立て替え相手から徴収する。米国では給与から天引きし、払わなければ運転免許停止や刑事罰となることもある。
 米国では養育費を払うために犯罪を起こすケースがある。「強制的な取り立てが日本になじむか慎重な議論が必要。国が立て替える仕組みは、不足分を負担してもいいという社会の合意形成が欠かせない」(小山代表理事)
 スムーズな支払いには「面会交流がカギとなる」と話すのは家族のためのADRセンター(東京・千代田)の小泉道子代表。虐待などのリスクがある例は別だが「子供の成長を目の当たりにすれば、養育費の支払いは増える」と考えている。
 明石市は両親と子供が合意している場合、職員が面会の日程調整や付き添いに関わる。棚村教授は「会える機会を支援するなど、喜んで払いたいと思わせる仕組みが必要だ」と指摘する。




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