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離婚家庭の養育費 子どもの利益を最優先に(2020年2月16日配信『毎日新聞』-「社説」)

 離婚して別居した親が支払う子どもの養育費は、健やかな成育環境の確保に欠かせない。子どもの利益を最優先にした仕組みが求められる。

 最高裁司法研修所が昨年末、養育費の基準となる算定表を見直した。16年ぶりの改定であり、全体として月1万~2万円の増額となった。

 算定表は国の家計統計などをもとに作られ、両親の年収と子どもの人数や年齢から金額を導き出す。家裁の調停や審判で養育費を決定する際の目安になるほか、両親が自分たちで決める場合も参考にされている。

 衣食費が増え、スマートフォンの普及で通信費もかさみ、一般家庭が子どもに使うお金の割合は高まっている。2003年当時のデータを根拠とした算定表を、16年も使い続けてきたのは問題だった。

 今後は、経済や社会の情勢を踏まえながら、算定方法も含めて、数年ごとに見直す必要がある。

 養育費を巡っては、合意がなかったり、あっても支払われなかったりすることが社会問題化している。厚生労働省の16年の調査では、母子家庭の7割が受け取っていない。

 民法は離婚時に養育費の取り決めをするよう求めている。しかし、母子家庭の半数超がしていなかった。

 配偶者からの暴力がある場合は離婚時の話し合いができない。当事者任せでは限界がある。国や自治体は養育費の相談窓口を設けているが、取り決めの仲介や専門家の紹介といった支援の充実を求めたい。

 支払いが滞らないようにするための取り組みも不可欠だ。

 民事執行法改正で4月から、裁判所に申し立てれば相手の預貯金や給料の情報が得られるようになる。ただ、差し押さえの手続きは煩雑で、ひとり親にとって荷が重い。

 ドイツやスウェーデンなどは、国が養育費を立て替えて、相手に請求する制度を設けている。森雅子法相は勉強会をつくり、こうした制度の導入について検討を始めた。

 民間保証会社による養育費の立て替えを活用し、保証料を補助する自治体も出てきている。

 ひとり親家庭の貧困率は、15年時点で50・8%に上っている。養育費の確実な受け取りに向け、どのような公的関与が適当なのか、政府は早急に議論を深めるべきだろう。




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